治療院
包帯を体に巻いたシンがスフィニャと話している。
「と、まぁこれが事のなりゆきだ」
「信じられない話にゃね」
「だろ?けど、まじな話なんだぜ」
ベッドの上で笑いながら茶化す。
あの後、満身創痍の体に鞭をうち意識がないイリアを担ぎ、ポータルを使って戻り、受付の連絡でここ治療院に運ばれたのだ。
回復魔法をかけてもらい傷自体はすぐに回復はしたが体力は回復しないので、ここの病室で療養している。
そこに見舞いに来たスフィニャに事の事情を話していた。
「後、真面目な話を一ついいか?」
「いいにゃ」
その言葉に生唾を飲み込むスフィニャにシンが聞く。
「あのはぐれはいくらになった?」
その言葉を聞いてため息をついた。
「真顔でにゃにかと思ったら…そんにゃ、くだらないことかにゃ」
「しゃーねだろ、貰った仕事の毛皮は荷物を軽くする為に捨てるしかなかったんだからよ。で、いくらよ?」
「二万にゃね」
「は?もっといくだろ、あのでかさだったら」
その言葉に頭を振る。
「呪いで体中が呪詛まみれにゃ、あれのせいで価値が全然にゃいね。牙とか使えそうなので、この値段にゃ」
「ねーわ…」
「それより、ほんとにあの娘がやったのかにゃ?」
隣のベッドで寝ているイリアに視線を向ける。
「俺も分からねーが…あの場で俺じゃないとしたらイリアしかいないだろ、はぐれをイリアが見たら…ボンッだ」
グーをパーにして表現する。
「うーんにゃね…それに道を消す力?だったかにゃ、それも謎にゃ」
「使える力だけどな」
「だとしても、少し気味が悪いにゃ…それに呪いも使えるみたいにゃし」
「イリアが使ったか、あれか」
その言葉を聞いて、触りながら口を開く。
「どの魔術系統にも属してない呪術っていう独立したカテゴリーにゃ」
「初めて聞くな」
「使えるのが少ないからにゃね、知っている方がすくにゃいにゃ。魔術と違って自然から力を借りずに負とかの魔に近い力を使うにゃ…だから、あまり良く思われてないにゃ」
「アノン教のあれか」
その言葉に頷く。
「それもあるけどにゃ、呪いってのはすさまじいにゃ。魔術とは違って残留する力にゃ。火魔術は消える水魔術は乾く、けど呪術は残る…恐ろしい力にゃよ」
「だからか、はぐれが安くなったのも」
「そうにゃ」
「覚えておくわ…見舞いにわざわざすまんな」
「気にしなくていいにゃ。ニーニャ達も心配してたしにゃ、はやく退院して無事な顔をみせるあげるにゃ」
そう言って紙袋を渡し、病室から出てゆくのを見届け紙袋の中を見る。
「サンドウィッチかよ…」
片手で紙袋からサンドウィッチを取り出し一口齧ってみる。
「相変わらず、まずいな」
そういいながらも紙袋に入ったサンドウィッチをすべて完食し、紙袋をゴミ箱に捨てる。
そして、隣のベッドを見る。
ダークエルフについて色々と調べる必要がありそうだし、さっさと退院しないとな。




