第二十四話 元勇者は黙々と
文字数が多くならないだと…!?新手のス○ンド使いかッ!
「返答次第で殺す、ね」
俺がゆっくりり立ち上がると、向こうも警戒しているのか、直ぐにでも魔術を放てるよう準備をしていることがわかる。
「君がミロに手を出したんだろ?僕は相当怒ってるんだよ。・・・君だって大切にしていたモノを傷つけられると同じ気分になるはずだ」
「おいおい、それはキロミアを物扱いしてるってとらえていいのか?お前の言い分じゃあ、そうとしか聞こえないんだが」
「・・・僕が彼女を世界で一番愛している。そんな扱い、例えどんな状況でもしない」
勇者の眼光から怒りが伝わって来るのがわかる。今にでも殺しにきそうな、そんな鋭いものである。
だが腹が立っているのはお前だけじゃねぇぞクソ勇者。俺自身、今までにないほど怒りと言う感情がフツフツと沸きだっている。どちらも戦闘準備は整っているが、さすがにこの医務室で戦うとなるとリレイド達に迷惑かかるな。手間はかかるが場所を移すか。
「・・・おいクソ勇者。ここじゃマカトニー家に迷惑をかけちまう。場所を移す」
「チッ・・・まぁいいだろう。どこでやろうと貴様がどんなに強かろうと、僕は勝つ」
そう言って勇者は悠然たる姿で部屋を出ていく。いつもならここで不意打ちをかますのだが、コイツは正々堂々、真正面から潰すと決めている。それも、生きている事を後悔させるレベルでな。
俺も行こうかとリレイドやキロミアを一目見てから部屋を出ようとする。
「・・・マヒロさん、ですよね」
目の前に居たのは紛れもなく知っている人物。子供がいるとは思えないほど若々しく、紫と言う特徴的な目の色。そう、リレイドの妻でキロミアの母であるネオノ=イヴァン=マカトニーだった。
「あぁ、お前そう言えば魔眼持ってたな。真実の眼だったっけ?・・・また昔みたいに花園で紅茶でものみながらいろんな事話したいところだが、急用が出来ちまった。また今度時間があったらやろうな」
彼女はその大きい目でこちらを睨み、俺の来ているゆったりとした服の襟を掴グイッと引き寄せ、その流れで頬に一発ビンタを貰った。
パァン!と大きな音がし、予想以上に強いもので若干よろめいてしまった。あ、これ絶対頬に紅葉出来たわ確定だな。
「違います、そんなことを言いに来た訳じゃないんです!!!」
彼女の大きな声が廊下に響く。俺はあのネオノがここまで大きい声を出すとは思わなくまた驚いた。
「あなたが死んだあと、どれだけ皆が悲しんだかっ!!どれだけ皆に迷惑をかけたかっ!!!あなたには星の数程言わなくちゃならないことが、有ります!!!・・・けど、けど・・・今は一つだけ言わせて下さいっ・・・!」
「私達の愛娘を、キロミア『自身』を、・・・・・・っ!助けてあげてッッッ!!!!」
「俺を誰だと思ってんだ、俺は伝説の不死身の勇者様だぜ。そんなもん簡単に・・・やってやるよ」
俺はネオノに背を向け、現勇者の待つ屋敷の外へと向かう。
ただ黙々と。
リレイドの妻登場!なんかマヒロの攻略対象になっちゃてる感じになってんだけど全然違うから。人妻枠とかじゃな(ry
※9/1 描写を追加、誤字修正。