第二十二話 元勇者は激怒する
長らくお待たせしました。遅筆に定評のねぎです。
言い訳ばかり言ってますが、今年の目標は有言実行です。ごめんなさい。
俺は【生じる歪み】で作った亜空間から気絶したリレイドを連れて、俺が寝ていた病室へと帰ってきた。
しかし、この病室結構広い部屋だな。リレイドは何処から金出してこんな豪勢な屋敷を建てたんだろう。
そんなどうでもいい事を考えていると、ベッドにもたれかかるように気絶している少女がいる事に気付く。
俺は近くにあるベッドにリレイドを寝かして、その少女に近づく。少女の様子を見て俺は思う。
少女は、キロミアは、俺をこんなにも待ち続けてくれていたんだ。
例え、確実に俺が死んだと分かっていても心の奥底で信じ続けていてくれたんだ。「俺は絶対生きてる」って。
何故だか分からないが、キロミアの感覚が、思いが、・・・絶望が。全て俺に濁流のように流れ混んでくる。
「キロ、すまないっ・・・」
俺はこれほど彼女を待たせ続けたのかっ!これほど彼女を絶望させてきたのかっ・・・!怒りのあまりに体が震える。
何故俺は彼女をもっと気遣ってやれなかったのか!何故彼女がこんな目に会わなくちゃいけなかったのか!・・・何故俺に恋などしてしまったのか・・
俺のなかに、疑問、葛藤、困惑、他にも色々な思いが込み上げてくる。それも今までに感じた事のない、形容し難い気分なんだ。・・・くそ、あぁ、クソッ!今はこんなところで道草くってる訳にはいかねぇのに!
「・・・」
俺はベッドにもたれかかるような姿勢の彼女と同じ高さまでしゃがみ、ゆっくり抱き締めた。
「ごめんなキロ・・・今はこれで、許してくれ・・・」
俺は【華】の能力で、一本の綺麗な花をキロミアへそっと沿える。
そして、彼女の頭を撫でてからゆっくりと歩き出す。逃走するために窓から、ではなく、この部屋の出入口である大きなドアへゆっくりと。
目の前の扉がドン、と大きな音を立てて開く。そこにいたのは、
「貴様・・・ミロに何をした。返答次第では」
紛れもない正義の使者。ミロ(・・)の恋人。それにして現在俺の果てしない怒りの対象である、
「この勇者キイチが貴様を後悔させる間も与えずに、殺す」
勇者がそこにいた。
どうでも良いですけど、キロミアに沿えてた花はマヒロが創造した架空の綺麗な花です。べ、べつに作者が花の知識なんて皆無なのに深夜のテンションで【華】なんて能力作ったわけじゃないんだからねっ!(震え声)