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異世界複製錬金術師~所有した物を無限コピーするチート錬金で武器も罠も量産無双~  作者: あくす
第二幕 旅立ち編~護るべきもの~

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第78話:漆黒の重戦車

第一ブロック決勝を告げる銅鑼の音が、重苦しく闘技場の空気に響き渡った。


舞台の中央に立つ領主軍総帥グランツは、一歩踏み出すたびに石畳を軋ませ、漆黒のフルプレートメイルから放たれる威圧感だけで観衆を圧倒していた。対峙するアドルは、二振りの剣を握り直し、全身の神経を極限まで研ぎ澄ませる。


「……始めよ」


グランツの低く冷徹な号令と共に、黒鉄の巨躯が爆発的な速度で迫った。アドルは反射的に、手持ちの攻撃スキルを解禁する。


「スマッシュ!!」


右手の長剣に魔力を込め、渾身の一撃をグランツの胸板に叩きつける。ガギン、と硬質な音が響き、火花が散った。だが、グランツの足は止まらない。


「ダブルアタック!」


休まず左手の短剣を追撃で突き立てるが、刃先は黒い装甲の上を滑るだけで、傷一つ付けることができない。それどころか、反動でアドルの手首に激痛が走った。


「小癪な」


グランツが巨大なメイスを横に薙ぎ払う。アドルは咄嗟に新スキルの強ガードを発動し、二振りの剣を交差させて衝撃に備えた。


「ぐっ、あああああ!」


凄まじい衝撃が全身を突き抜け、アドルは舞台の端まで吹き飛ばされた。石畳に溝を作るほどに足を踏ん張っても、その勢いを殺しきれない。ようやく止まったときには、両腕の感覚が消失しかけていた。


「パリィ!」


間髪入れず追撃に現れたグランツの突きを、アドルは死に物狂いで受け流す。刃を滑らせて威力を逸らしたはずだったが、掠めただけでアドルの肩の肉が抉れ、鮮血が舞った。


(……おかしいだろ。今のパリィは完璧だった。なのに、重すぎる!)


アドルは再び距離を取ろうとするが、グランツは重戦車のような圧力でじりじりと距離を詰めてくる。アドルは絶望的な状況に歯を食いしばり、持ち得る技のすべてを叩き込み続けた。何度も、何度も、剣閃がグランツを捉える。しかし、そのすべてが無力だった。

スマッシュも、ダブルアタックも、どれだけ鋭い一撃を放っても、相手の装甲は凹むことさえしない。逆にアドルの剣のほうが、その硬度に負けて刃こぼれを起こし始めていた。


(どうしろっていうんだ、こんな硬いやつ……。全部弾き返される。くっ、こんなバケモノが相手じゃ、まともにやり合ったって勝ち目なんて……)


アドルは血混じりの唾を吐き捨て、震える脚を叱咤した。全身が悲鳴を上げている。脇腹の肋骨は確実に数本折れ、呼吸をするたびに鋭い痛みが脳を刺す。視界が点滅し、意識が遠のきそうになるのを、怒りと執念だけで繋ぎ止めていた。


「どうした。もう手詰まりか。錬金術師の限界、その身で知るがいい」


グランツがメイスを高く掲げた。その背後には、もはや数歩下がれば場外という舞台の縁しかない。絶体絶命のピンチを前に、アドルは舞台の外、最前列でこちらを凝視しているミーシャと視線を合わせた。


(……ここだ。ここしかない!)


アドルはわざと無様に後退し、自ら舞台の端へと追い詰められていった。グランツはトドメを刺そうと、その巨体をさらに前へと進める。

境界線まで、あと一歩。ミーシャとの異空間保存が繋がる十メートルの範囲内に、グランツを引きずり込む。


「逃げ場を失ったな。終わりだ、アドル」


グランツのメイスが、空気を切り裂いて振り下ろされる。アドルはその瞬間、死神の鎌を避けるように紙一重で身体を捻り、観客席へと掌を向けた。


「…… 今だ!!」


アドルの咆哮に応えるように、彼の手の中に膨大な砂鉄と魔力触媒の感覚が流れ込んできた。グランツの必殺の一撃が舞台を砕く寸前、アドルの足元から眩い錬成の光が吹き上がった。


「マグネットウォール、『S』!!」

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