表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界複製錬金術師~所有した物を無限コピーするチート錬金で武器も罠も量産無双~  作者: あくす
第二幕 旅立ち編~護るべきもの~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/111

第66話:封じられた右腕

デュラハンの大剣が振り下ろされる直前、俺たちは息の合った連携を見せた。


「ミーシャ、右だ! ルル、パピィを突撃させろ!」


「ええ! 【ファイア】!!」


ミーシャの炎がデュラハンの視界を焼き、その隙を突いてパピィが鎧の足元を攪乱する。

俺は一気に踏み込み、白銀の長剣で鎧の隙間――首のあった場所へ突きを放った。


ガキィィィィィィン!!


手応えがあった。

デュラハンの巨体が大きくのけぞり、漆黒の鎧に深い亀裂が走る。


「いける……もう一撃だ!」


俺がトドメの一撃を繰り出そうとした、その時だった。


「待ってなの!!」


ルルの切実な叫びが洞窟に響き、俺は寸前で剣を止めた。


「どうした、ルル! 今叩かないと――」


「声が聞こえたなの……。この人、泣いてるのよ」


ルルはおずおずと、しかし確かな足取りでボロボロになった鎧に近づき、その冷たい鋼鉄にそっと手を触れた。

直後、デュラハンの全身が青白い光に包まれる。


「……ん。 アーサーちゃん っていうみたい」


「アーサー……?」


「昔、王様に仕えていた騎士様なの。でも、守りきれなかったことをずっと後悔して、魂が彷徨ってたんだって……」


光が収まると、そこには敵意を失い、跪く首なき騎士の姿があった。

ルルの頭の中に直接語りかける「召喚師」の絆が、彷徨う魂を繋ぎ止めたのだ。


「この人、あたしと一緒に来てくれるって! 召喚コストは『5』なの。パピィと入れ替えなら、いつでも呼べるのよ!」


「……コスト5か。パピィの倍近い力があるってことだな。ルル、よくやった。最高の仲間を救ったな」


俺がルルの頭を撫でると、彼女は誇らしげにエッヘンと胸を張った。



アーサーを新たな戦力に加え、俺たちはさらにダンジョンの深淵へと突き進んだ。

そして――。

ついに俺たちは、目標としていた第10層の最奥、ボスエリアらしき巨大な扉の前に到着した。


「いよいよかしら……」


ミーシャが杖を握り直し、緊張した面持ちで扉を見上げる。


「ああ。ここを抜ければ、俺たちの評価も変わる。……よし、開けるぞ」


俺が重い扉を押し開けて中へ踏み込むと、直後、背後でドォォォォォンという轟音が鳴り響いた。


「あ、開かないなの!!」


ルルが扉を叩くが、びくともしない。

強制戦闘の合図だ。

部屋の中央。そこに鎮座していたのは、身の丈5メートルを超える一つ目の怪物―― 【サイクロプス】 だった。

奴は手にした巨大な棍棒を地面に引きずりながら、鋭い眼光で俺たちを睨みつける。


「くっ、先手を取られる前にやるぞ! 全員――」


俺が号令をかけた瞬間、部屋全体の壁から、聞いたこともない無機質な機械音が鳴り響いた。


『――ボスエリア・ギミックが発動しました。右腕の機能を一時的に凍結します』


「は……? ギミック……? 何だ、今の声は!」


俺が声を荒らげた瞬間、身体に異変が起きた。


「え……? あれ、……っ!?」


「な、なになに!? あたしの右手が勝手にお辞儀してるなの!!」


ルルが悲鳴を上げる。

俺の右腕も、まるで糸が切れた操り人形のように、だらんと力なく垂れ下がった。


「な、……動かない……! クソッ、指一本動かせないぞ!? 痺れてるわけじゃない、最初から腕なんて無かったみたいに感覚が消えてる……!」


俺は必死に右腕を振ろうとするが、重いおもりをぶら下げているような感覚しか残っていない。

手にしていた白銀の長剣が、むなしく石畳の上に音を立てて転がった。


「アドルさん、落ち着いて! ……これは部屋全体に張られた強力な呪いの類だわ! 今のアナウンス……このエリアそのものが、私たちの右腕を封じる仕組みになっているのよ!」


「そんなのありかよ……! 利き手が使えなきゃ、剣もまともに振れねえぞ!」


サイクロプスは、俺たちの混乱を嘲笑うかのように巨大な棍棒を振り上げた。

地響きを立てて、怪物が動き出す。


「ちっ……! ミーシャ、ルル、後ろに下がってろ!」


俺は左手だけで盾を掴み直し、転がった剣を拾う余裕もなくサイクロプスの懐へ飛び込んだ。


「はぁぁっ!!」


左手一本のシールドバッシュ。だが、力が入りきらず、巨体を押し戻すにはあまりにも火力が足りない。

ミーシャも左手だけで杖を構え、必死に詠唱を紡ぐ。


「 【ファイア】 !!」


左手での詠唱は安定せず、放たれた火球もいつもの勢いがない。


「だめだ……ミーシャも片手、俺も盾だけじゃ削りきれない! このままじゃジリ貧だぞ……!」


サイクロプスの棍棒が空気を切り裂き、俺の盾を弾き飛ばそうと迫る。


「……あたしに任せるなの! 右手がダメなら、左手で呼ぶだけなのよ!!」


ルルが涙目になりながらも、必死に左手を突き出した。


「パピィ、交代! アーサー、お願いなの、助けて!!」


ルルの呼び声に応え、霧の中から漆黒の守護騎士アーサーが姿を現した。


「いけぇっ!!」


アーサーは俺たちの窮地を察したのか、出現と同時に猛然と加速した。

首なき騎士は、右腕を封じる呪いなど知ったことかと言わんばかりに、大剣を片手で軽々と旋回させる。


「……すごい。アーサーはギミックの影響を受けていないのね!」


「ああ、召喚体には効かないのか……! アーサー、そのまま押し込め!」


アーサーの一撃がサイクロプスの足を深く切り裂く。

怒り狂う怪物の棍棒を、アーサーは剣を盾代わりにして正面から受け止め、そのままカウンターを叩き込んだ。


「ミーシャ、俺たちがアーサーの死角を埋めるぞ! 左手でもできることはある!」


「わかったわ……ウインドカッター!!」


ミーシャが片手で放つ風の刃が、サイクロプスの目を的確に狙う。

俺も左腕だけで盾を構え直し、アーサーに向かう攻撃を体当たりで逸らす。

右腕を奪われた絶望的な状況。

しかし、新たに加わったアーサーの圧倒的な武力が、戦局を強引に引き戻していく。


「よし……今だ、一気に片付けるぞ!!」


俺の号令とともに、アーサーの大剣が月明かりのような鋭い軌跡を描き、サイクロプスの膝を叩き折った。

巨体が崩れ落ち、10層の主は完全にあとがなくなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ