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異世界複製錬金術師~所有した物を無限コピーするチート錬金で武器も罠も量産無双~  作者: あくす
第二幕 旅立ち編~護るべきもの~

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第65話:鉄錆の騎士

黎明祭の興奮が冷めやらぬ翌朝。

俺たちは異空間から取り出した大量の回復薬を抱え、まずはモルガンの店へと立ち寄った。


「おぅ、お前らか。補充を持ってきたんだな?」


モルガンがカウンター越しに、慣れた手つきで瓶の山を数え始める。


「ああ、品質BとCだ。Bは少しずつ流していくつもりだから、販売を頼むよ」


「あぁ、任せとけ。……それより、ちょくちょく妙な問い合わせがあるんだ。『ふらいどぽてと』と『えなじーどりんく』はないのか、ってな。心当たりはあるか?」


モルガンの言葉に、俺とミーシャは顔を見合わせて苦笑いした。


「あー……それは俺たちが祭りの屋台で出した商品だ。あれ、そんなに評判になってるのか」


「今度、店でも出せるか考えて持ってくるよ。今回は回復薬だけで頼む」


「わかった。……またダンジョンに行くのか?」


「ああ、今からな。十層を目指すつもりだ」


俺が頷くと、モルガンは少しだけ真剣な表情で声を潜めた。


「……気をつけろよ。街の裏側で『黒犬』たちの動きが確認されてる。祭りのどさくさに紛れて、何か不穏なことを企んでいるかもしれねえからな」


「わかった。忠告、ありがとう」



ダンジョンに足を踏み入れた直後、ルルが迷いなくパピィを召喚した。


「おいで、パピィ! あたしたちを守ってほしいなの!」


光の粒子と共に現れた銀灰色のオオカミ、パピィ。

その鼻がピクリと動き、耳が周囲の音を鋭く捉える。


「……ん、パピィが敵の居場所と数を教えてくれてるなの! こっちに三体、奥の曲がり角に五体いるのよ」


「パピィの索敵、すごいのね……。魔法で探るよりずっと正確だわ」


ミーシャが感心したように呟く。


「こっちなの! ついてくるのよ!」


パピィを先頭に、俺たちは一層から五層までを、これまでにない速度で駆け抜けていった。



しかし、第六層の入り口に差し掛かった時、パピィが低く唸り、足を止めた。


「ストップなの! ……パピィが、人間の匂いがするって言ってるなの」


俺は息を殺し、壁の角からそっと通路の先を覗き込んだ。

そこには、薄暗い明かりの中で魔物と戦う集団の姿があった。


(……黒犬だ。なんでこんな所に……?)


連中は俺たちの存在に気づいていない。


「……今は関わりたくないな。別の道へ行こう」


俺たちはパピィの導きで黒犬たちを回避し、第七層へと辿り着いた。


『経験値が一定に達しました。レベルが上昇します。Lv.11 → Lv.12』


脳内に響く声。ミーシャも、そしてルルもレベルが一段階上がったようだ。


(やはりレベルアップが早い。アイテムは全然出ないというのに、経験値効率だけは異常だ。……武道大会までは、こうして低層でレベル上げをすべきなのかもしれないな)


そんなことを考えながら、俺たちは第八層へと足を進めた。



ガチャ、ガチャ、ガチャ……。


重厚な金属が擦れる音が、パピィの索敵を掻い潜るようにして背後から近づいてきた。


「……っ! ルル、パピィ、後ろだ!」


振り向いた先。そこには、首から上が存在しない、漆黒の全身鎧が立っていた。

手には身の丈ほどもある、使い込まれた大剣。


「これは……まさか。 【 デュラハン 】 だ」


鎧の隙間から、青白い燐光が溢れる。

向こうもこちらを認識した瞬間、その巨体からは想像もつかない鋭いステップで、一気に間合いを詰めてきた。


「ひゃあぁっ!?」


「ルル、下がれ! ミーシャ、援護を!」


「はいっ! …… 【 ウインドカッター 】 !!」


ミーシャの放った風の刃を、デュラハンは大剣を一振りするだけで弾き飛ばした。

凄まじい筋力。そのまま旋回し、俺の脳門を目掛けて大剣が振り下ろされる。


(速すぎる……! 受け流しきれない!)


俺は反射的に、腰のポーチから 【 瞬発鋼牙スナップ・ジョー 】 を地面に叩きつけ、辛うじて後方へ飛び退いた。


ガキィィン!!


デュラハンの足首をトラバサミがガッチリと捉える。

だが、奴は痛みを感じる様子もなく、拘束を引きちぎらんばかりの勢いで大剣を横に薙いだ。


「グルルゥッ!!」


パピィが横から飛びかかり、デュラハンの腕に噛み付くが、鋼鉄の鎧に牙は通らない。


「パピィ、危ないなの! ……アドルさん、こいつ、とっても強いなの……!」


ルルの悲鳴に近い声が響く。

デュラハンの大剣が、今度はパピィを狙って振り抜かれた。


「させるか! ――はぁぁっ!!」


俺は白銀の長剣を抜き放ち、パピィの前に滑り込んだ。

火花が散り、腕に痺れるような衝撃が走る。

レベル12になったとはいえ、この騎士の一撃はあまりにも重い。


(……想像錬金なんて不確実なものは使ってられない。今の俺にあるのは、量産した罠と、磨き始めた剣技だけだ!)


闇の中、首なき騎士の首筋から立ち昇る冷気が、俺たちの死を宣告するように揺らめいていた。

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