表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界複製錬金術師~所有した物を無限コピーするチート錬金で武器も罠も量産無双~  作者: あくす
第二幕 旅立ち編~護るべきもの~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/110

第59話:黎明祭前日

黎明祭を翌日に控えた朝。

俺はルルを連れて、開店直後の衣料品店へと足を運んでいた。

看板娘としての衣装を選ぶためだ。


「アドルさん、アドルさん! これ、とっても可愛いなの!」


ルルが目を輝かせて指差したのは、フリルとレースをふんだんにあしらったエプロンドレスだった。

どこかメイド服を思わせるフォルムだが、猫耳のヘッドドレスを付けたくなるような、愛くるしいデザインだ。


「うん、いいなそれ。ルルによく似合っている」


「どうです? 店員さん、あたしに変じゃないなの?」


ルルがその場でくるりと回ると、店員が感嘆の溜息を漏らした。


「まあ! まるでお人形さんのようですわ。その小さな角も、衣装のアクセントになっていて……これ以上ないほどお似合いです!」


「よし、それ一つ買おう」


俺は支払いを済ませると、受け取った衣装をこっそり鑑定した。


(……よし、構造は把握した。あとでカミラとミーシャの分もこっそり複製しよう。……絶対に可愛いはずだ)


そんな邪念を押し隠しながら、俺は嬉しそうに裾を揺らして歩くルルにビラの束を渡した。


「ルル、あとは屋台の予定地付近でこのビラを配っておいてくれ。俺はカミラの手伝いが終わったら一度屋敷に帰って、ミーシャの様子を見てくる」


「わかったなの! あたし、看板娘として一生懸命配ってくるのよ! 行ってらっしゃいなの!」



ルルと別れた俺は、大通りの中心部へと向かった。

そこではカミラが、鋭い視線で場所の選定を行っていた。


「カミラ~、いたいた。いい場所、見つかったか?」


「あ、ご主人様。……ええ、ここなんてどうですかね?」


カミラは路地の角、かつ噴水広場に面した一等地を指差した。


「ここは人通りが三方向からぶつかる場所ですし、風通しもいいからポテトの匂いが遠くまで届くはずですよ」


説明するカミラが、ふと上目遣いで俺の顔を覗き込んできた。

その艶やかな瞳に、俺は一瞬だけ心臓を跳ねさせてしまう。


「……っ。あ、ああ、完璧な場所だな。さあ、さっさとここに屋台を立てていくぞ。終わり次第、俺は屋敷に帰ってミーシャの料理を確認しないといけないからな」


動揺を誤魔化すように作業を始めようとすると、カミラがくすりと笑い、俺の腕にそっと自分の腕を絡めてきた。


「ふふ、いまは私と二人っきりですよ? そんなに急がないで……」


カミラは屋台の骨組みを支えるフリをしながら、柔らかい胸を俺の腕にむぎゅっと押し当ててくる。


「ど、どうしたんだカミラ……っ。今は仕事中だぞ」


「あら、ご主人様、嫌ですか?」


カミラはさらに密着を強め、いたずらっぽく俺の顔を覗き込む。

耳元に感じる彼女の熱い吐息に、俺の顔は瞬く間に赤く染まった。


「っ! ……カミラ、頼むから勘弁してくれ……」


「ふふ、いたずらはこの辺までにしておきます♡ でも、忘れないでくださいね? 私のことも」


カミラは満足げに腕を放すと、何事もなかったかのように作業に戻った。


(……まったく、心臓が持たん……)


俺はそそくさと屋台を組み上げ、仕上げの釘を打ち込んだ。


「よし、完成だ。カミラ、お疲れ様。……結構時間も経ってしまったし、ルルを連れて屋敷に帰ろう」


日が傾き始めた街で、俺は二人を促した。


「疲れただろうから、ルルと二人で先に風呂に入ってていいからな。俺はミーシャの様子を伺ってくる」



屋敷のキッチンに戻ると、そこには真剣な表情でフライパンと格闘するミーシャの姿があった。


「どうだ、ミーシャ。進み具合は」


「あ、アドルさん、お帰りなさい! ちょうどよかったです。ちょっと味見してみてもらえますか?」


差し出された揚げたてのポテトを、俺は一口齧った。


「モグモグ……んー、美味しい。……美味しいけど、極上だと言われると、まだ何かが足りない感じかな」


「そうなんですよね……。私も、これじゃあ『現代の味』としては不合格だと思っているんです」


「ちょっと失礼……。鑑定!」


【 フライドポテト:品質C 】


「まあ、そうだよな。……ミーシャ、油を変えたりしても、あまり変わらないか?」


「そうなんです。素材そのものの質は悪くないはずなんですけど、そこから先へ行けないというか……。悔しいです」


ミーシャが頬を膨らませてフライ返しを握りしめる。


「オリジナルで品質を上げるより、俺が複製の上振れを狙ってみるか?」


「んー、なんかそれはちょっと悔しいです! ……そうだ、二人で勝負しませんか? アドルさん」


ミーシャが挑戦的な笑みを浮かべ、俺を真っ直ぐに見据えた。


「どちらが先に、品質の高いフライドポテトを作れるか! アドルさんは上振れ狙いでいいですよ。私は調理技術で、アドルさんは錬金術で。……負けた方が罰ゲームです!」


「罰ゲームって……具体的に何をさせるつもりだ?」


「負けた方が、勝った方の言うことを何でも一つ聞く……というのはどうですか?」


ミーシャの提案に、俺は少しだけ考え、不敵に笑い返した。


「……面白い。よし、やってやろうじゃないか!」


屋敷のキッチンに、もう一つの「前夜祭」の火蓋が切って落とされた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ