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異世界複製錬金術師~所有した物を無限コピーするチート錬金で武器も罠も量産無双~  作者: あくす
第四幕 反撃編~対四天王~

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第135話 : 淵源への進撃

市街地に侵入した魔物の掃討を終える頃には、リュステリアの空には厚い雲が垂れ込め、不気味な静寂が戻っていた。


アドルは剣に付着した青黒い返り血を錬金術の振動で弾き飛ばすと、隣に立つミーシャと、人型のドラゴンを伴ったルルに声をかけた。


「街の中は、ひとまずこれで落ち着いたはずだ。ガリクソンに報告に行くぞ」


一行は冒険者ギルドへと向かった。


ギルド内は負傷した冒険者たちの呻き声と、指示を飛ばす職員の怒号でごった返している。

ギルドマスターのガリクソンは、地図の上に置かれた無数の駒を険しい顔で睨んでいたが、アドルの姿を認めると、せきを切ったように歩み寄ってきた。



「アドル殿、よくやってくれた! 街の北側の被害を最小限に食い止められたのは、間違いなく君たちの功績だ。だが、事態は予断を許さない。ダンジョンの入り口からは、今もなお魔物の気配が止まることなく溢れ出し続けているんだ」


「ああ、外側を叩くだけじゃきりがないな。俺たちが直接ダンジョンに潜り、原因の究明と魔物の殲滅を行う。元凶を引き抜かなければ、この街に安息はない」


アドルの力強い決意に、ガリクソンは固く拳を握りしめた。


「……無理を承知で頼む。街の防衛は我々が死守する。ダンジョンの方は、君たちにすべてを託させてくれ」



ダンジョンへ向かう前、アドルたちは一度屋敷へと戻った。

そこには、新しく授けられた耳飾りで遠方の異変を察知し、的確に自警団を動かしていたカミラと、指輪の力で混乱する避難民を鎮めていたエナが待っていた。


「カミラ、エナ。街の中の敵はひとまず片付けた。これからルルとミーシャを連れて、ダンジョンの深部を叩いてくる」


アドルが伝えると、二人は一瞬だけ不安に瞳を揺らしたが、すぐに凛とした表情で頷いた。


「……わかりました。ご主人様がいない間、この屋敷と街の人たちは、私が必ず守り抜きます。ですから、絶対に無茶はしないでくださいね」


カミラが耳飾りに手を添えながら告げる。エナもまた、アドルの手をそっと握りしめた。


「信じて待っています。皆さんが帰ってきたときに、最高の祝杯を挙げられるよう準備しておきますから。必ず、全員で帰ってきてください」


「ああ、約束する。カミラ、エナ、留守を頼むぞ」


短い、だが重い言葉を交わし、三人はリュステリアの北に座する巨大な迷宮へと足を踏み入れた。



「ルル、ミーシャ。ワープは使わない。一層から確実に敵を叩き潰しながら進むぞ。ダンジョンがどう変質しているか、この目で確かめる必要がある」


「了解よ。……包帯のおかげで右腕の魔力は完全に抑え込めているわ。左手だけでも、今の私なら不足はないわよ」


ミーシャが左手に魔力を集束させ、青白い火花を散らす。

ルルもまた、新調したナックルグローブを構え、火炎、疾風、氷結の三つの輝きを掌に灯した。


「いけるなの! ドラゴンさん、お願いなの!」


「ふん、この程度の雑魚を相手にするのは退屈だが……我が主の道行きだ。塵一つ残さず掃討してやろう」


白銀の髪をなびかせた人型のドラゴンが、氷の長槍を無造作に振るう。

三人の進撃は、まさに嵐のようだった。一層から十層にかけて、溢れ出そうとしていた魔物たちは、戦いと呼ぶにはあまりに一方的に、影すら残さず消し飛ばされていく。


かつては死闘を演じたはずの階層。だが今の彼らにとって、それはもはや通過点に過ぎなかった。


やがて、十層の最奥。


かつて大ボスが鎮座していた広間に辿り着いた。


だが、そこには以前倒したボスの姿はなく、ただぽっかりと、深淵へと続く階段だけが口を開けていた。


「……ボスは不在か。だが、空気の色が変わったな」


アドルが十一層へと続く階段を見据える。


そこから漏れ出すプレッシャーは、これまでの階層とは比較にならないほど重く、どろりと濁っていた。


「ここから先は未知の領域、十一層だ。……行くぞ」


三人は一歩、足を踏み出した。

階段を降り切った瞬間に肌を撫でたのは、鉄錆のような血の匂いと、生物的な鼓動のような微かな振動だった。


「……アドルさん、これ……」


ミーシャが息を呑む。


十一層の壁面には、血管のような不気味な触手が脈動しながら張り巡らされ、迷宮そのものが一つの巨大な臓物へと作り変えられているかのようだった。


「なんだか、ダンジョンが生きているみたいで気持ち悪いの……」


ルルの言葉に呼応するように、闇の奥からこれまでの魔物とは一線を画す、禍々しい呻き声が響き渡った。


その声は一つではない。十、二十……。



暗闇の中から、赤い眼光が無数に浮かび上がり、三人を包囲するようにじりじりと距離を詰めてくる。


「どうやら、歓迎会はここからが本番のようだな」


アドルは剣を構え、新種の魔物たちが蠢く深淵を真っ向から見据えた。


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