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異世界複製錬金術師~所有した物を無限コピーするチート錬金で武器も罠も量産無双~  作者: あくす
第四幕 反撃編~対四天王~

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第128話 : ルル覚醒

吹雪と絶望が渦巻く広場の中央で、ルルを包み込んだ光は、ただの魔法の余波ではなかった。


その光の源は、ルルの足元でいつも呑気に跳ねていたはずのスライム――すらたんだった。


凄まじい密度の魔力が溢れ出し、周囲の氷を蒸発させていく。


その輝きの中心から、聞き慣れないがどこか懐かしい、凛とした女性の声が響いた。


「久しいわね、ブリザードドラゴン」


巨龍の動きが止まった。


その冷徹な瞳が驚愕に細められる。



「こ、この光は……!? まさか、まだ生きていたのか。エンシェントスライム……!」


「当然よ。もう千年も生きれば十分かと思っていたけれど、まだ退屈はしていないの。この子が私のマスターになってくれたからね」


ルルは驚きのあまり、涙も引っ込んでいた。


「な、なにがどうなっているなのよ!? すらたん、急に喋りだしてびっくりなの! しかも、いまどこにいるなの!?」


「すみません、マスター。今まで正体を隠していまして……。でも、状況が状況です。今のあなたなら、私の真の力を引き出せるはず」


すらたんの声は、ルルの頭の中に直接響いていた。


ブリザードドラゴンは鼻で笑い、翼を一煽りして周囲の気温をさらに下げた。


「ふんっ、貴様が出てきたとて、こんな貧弱な人間を相手にしないことには変わりはない。無礼な人間どもよ、今ならまだ見逃してやる。この地から立ち去るが良い」



「あら、貧弱でなければいいのかしら? あなたにも少しは見えているでしょう? この子の資質が」



「知ったことか」



「ならば見せてあげましょう、マスター。いま、あなたの近くへ行きますね」



すらたんの体が半透明なオーラ状へと変形し、ルルの全身を優しく、かつ力強く包み込んでいく。



「えっ……なんなの、なんなの!?」



「一体何が起きている……!?」



アドルが叫ぶが、その隣でミーシャが彼の腕を掴んで静止させた。


「アドルさん、大人しく見ていましょう。なにかとんでもないことが起こる気がします」


すらたんのオーラがルルの魔力と完全に同調を開始した。

ルルの頭の中で、すらたんの茶目っ気のある声が弾ける。


「マスター、いきますよ。そうですね、ここは景気よく掛け声みたいなのが欲しいです。『魔法召喚少女、降臨☆』みたいな感じでどうですか? マスター」


「えぇ……そんなの恥ずかしいなの……。えっと、ま、魔法召喚少女……こぉりん☆」


ルルが赤面しながら呟いた瞬間、広場を埋め尽くすほどの光柱が立ち昇った。



光が収まった後、そこに立っていたのは、これまでの臆病なルルではなかった。


服装は、幾重にも重なった薄い布が羽のように広がる、ひらひらとした軽装のローブに切り替わっている。

高速で動くたびになびくその素材は、重さを一切感じさせない。

そして、彼女の周囲には常に淡いオーラが纏われていた。


「なにがどうなっているなの……」


「聞こえますか、マスター。私はいまマスターのオーラになって話しかけています。基礎ステータスは大体二から三倍へ引き上げました。理屈はあとです。目の前のお堅いドラゴンをなんとかしましょう。あ、攻撃は素手でお願いしますね。殴れる召喚魔法少女……いいですね」


すらたんの声――いや、ナビゲートシステムとなったエンシェントスライムがルルの感覚を研ぎ澄ませていく。


「でも、確かにこれなら……いける気がするなの。ドラゴンさん、しょーぶなの! もし私が勝ったら、仲間になってもらうの!」


「ふんっ、時間の無駄だと思うが。命が惜しくないならかかってこい」


アドルが助けに入ろうと一歩踏み出すが、ルルは振り返らずに手を上げた。


「アドルさん、ミーシャさんは動かなくていいなの。これは私の試練なのだから」


その凛とした声に、二人は言葉を失った。


「よかろう。では我の身体に傷をつけてみろ。それで合格としてやろう」


戦いの幕は、唐突に切って落とされた。


ブリザードドラゴンがその巨躯を翻し、氷のつぶてを弾丸のように放つ。以前のルルなら悲鳴を上げて逃げ回るだけだったが、今の彼女は違った。


「マスター、左斜め前方へ。クイックムーブ、展開五秒」


「はいなの! クイックムーブ!」


ルルが地を蹴った。


文字通り、風になった。


ひらひらとした衣装をなびかせ、氷の弾幕を紙一重ですり抜けていく。


「なっ、速い……!?」


ドラゴンの懐に一気に潜り込むルル。


彼女の拳に光が宿る。



「アタックブースト!」



「そのまま右拳。マシンガンブロー、駆動開始」


「いっけえぇぇ! マシンガンブローなの!」


ルルの小さな拳が、ドラゴンの腹部に叩き込まれた。一度、二度、三度――。


まるで千手観音のような超高速の連撃が、硬質な鱗に激しい音を立てて炸裂する。


「がっ……!?」


衝撃波が龍の巨体を震わせる。


ルルは止まらない。


ドラゴンの巨大な尾が背後から襲いかかるが、ルルは空中を舞うように回避した。


「プロテクション!」


衝撃を最小限に抑え、そのまま空中から急降下する。


「まだ終わらないなの! エンシェントブロー!」


光り輝く右拳が、ドラゴンの肩口に直撃した。



「……おのれ、小癪な真似を!」


ドラゴンが怒りに吠え、周囲を絶対零度の吹雪で包み込んだ。


視界が白に染まり、足元から急速に凍りついていく。


「マスター、空中に逃げて。足場を召喚デプロイします」


すらたんの指示と同時に、ルルの足元に小さな召喚陣が三つ現れた。

それを階段のように駆け上がり、ルルは猛吹雪の圏外へと逃れる。


「ドラゴンさん、こっちなの!」


ルルの瞳には、もはや迷いも恐怖もない。

すらたんという最強のナビゲーターと、爆発的な身体能力。

そして、短時間の強化魔法をコンボのように繋ぎ合わせる独自の戦闘スタイルが、伝説の龍と互角以上の接戦を演出していた。


「……認めよう、今の貴様はただの人間ではないな。だが、我が全力に耐えられるか!」


ブリザードドラゴンの翼が大きく広がり、広場全体の温度がさらに数百度下がった。


いよいよ、龍の本気が放たれようとしていた。

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