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【完結済】異世界複製錬金術師~所有した物を無限コピーするチート錬金で武器も罠も量産無双~  作者: あくす
第四幕 反撃編~対四天王~前編

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第122話:断絶と共鳴


「瞬きの錬金――ッ!」


店の玄関を蹴破って入ってきたアドルが即座に指を鳴らす。

だが、静寂が痛いほどに響くだけだった。

脳裏に広がるはずの異空間の在庫が、霧の向こう側にあるように霞んで届かない。


「……っ、嘘だろ。素材が、呼び出せないのか?」


アドルは呆然と自分の手を見つめた。


ミーシャの「異空間保存」への接続が、完全に遮断されている。

共有距離の限界、十メートル。


常に隣に彼女がいたから忘れていた、唯一にして最大の弱点だ。


素材も、異空間内の爆速演算も、今の彼には使えない。


「あはは! どうしたの? 急に棒立ちになって。私の黒犬たちがそんなに怖かったのかしら!」


影の中からフィアが嘲笑う。


彼女はアドルの不調の理由を知らない。


ただ、目の前の男が急に隙を晒したように見えただけだ。


床から這い出した黒い泥が、アドルの足首を蛇のように搦め取る。


「しまっ……!」


武器もない。素材も呼び出せない。

アドルは泥に引きずり込まれ、床に膝をついた。


◇


一方、正面の戦場。

迫りくる騎士団を前に、ミーシャが右腕を突き出していた。


「アドルさんを追わせない。……ここから先は一歩も通さないわ!」


ミーシャが右腕を掲げる。

その瞳に宿る魔力が、加速的に高まっていく。


「『マナクイック』!」


瞬間、彼女の周囲の魔力が沸騰した。

極限まで短縮された詠唱。

黄金の二重螺旋が、これまでにない速度で右腕に編み上げられていく。


「小娘が……死ねぇい!」


残された大剣の破片を握り、ヴァルゴスが突進する。

だが、ミーシャのほうが速かった。


「『火炎(ファイア)』、そして『ディメンション・ブレイク』の二重螺旋!黒空炎波~!」


放たれたのは、黒い炎。

それは単なる火炎ではない。

空間そのものを物理的に叩き割る破壊力と、圧縮された熱波が螺旋を描き、ヴァルゴスの神鉄の鎧を飲み込んだ。


「なっ……!? 空間が、砕け……っ!?」


神鉄の重鎧が、内側から生じた空間の断層に耐えきれず粉々に弾け飛ぶ。

防御の概念そのものを破壊されたヴァルゴスは、衝撃波に飲まれ、白目を剥いて吹き飛ぶ。

虚飾の騎士王の、完全な敗北だった。


◇


店の内部では、絶望がエナに迫っていた。

アドルの足を泥が飲み込み、巨大な影の爪が彼女の喉元を狙う。


「アドルさん……っ!」


エナが叫び、懐から「特級霊薬(ハイ・エリクサー)」を掴み出した。

それは飲むためのものではない。

彼女はアドルの足元を覆う黒い泥に向け、力いっぱい薬瓶を叩きつけた。


パリン!


硬質な音が響き、まばゆい生命の奔流が溢れ出す。


「な……何よ、その光!?」


フィアの影が悲鳴を上げた。

特級霊薬の過剰なまでの純粋なエネルギーが、呪いそのものである「泥」を猛烈な勢いで中和していく。

アドルを縛っていた重圧が消え、彼の周囲にだけ清浄な空間が生まれた。


「エナ、助かった!」


(もしかして聖属性が弱点か!?)


アドルは泥が消えた床に転がっていた「数枚の銀貨」と、ヴァルゴスの騎士が落とした「折れた剣の破片」を素手で掴んだ。

異空間は開かない。在庫も使えない。

なら、目の前のゴミで錬成するまでだ。


「瞬きはできなくても……錬金術(これ)が俺のすべてだ!」


アドルは己の全力を手に込めた。

爆速の自動演算ではない。

自分の脳を焼き切るような、泥臭く必死な手作業の錬成。

手の中の銀貨と破片が赤熱し、たった一つの形へと収束していく。


「これでおしまいよ! 喰らいなさい!」


フィアが吠え、巨大な影の鎌を振り下ろした。

アドルは回避しない。

手作業で練り上げた、一振りの銀色の短剣を逆手に構える。


「……くっ、このままでは……」

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