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異世界複製錬金術師~所有した物を無限コピーするチート錬金で武器も罠も量産無双~  作者: あくす
第四幕 反撃編~対四天王~

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第122話:断絶と共鳴


「瞬きの錬金――ッ!」


店の玄関を蹴破って入ってきたアドルが即座に指を鳴らす。

だが、静寂が痛いほどに響くだけだった。

脳裏に広がるはずの異空間の在庫が、霧の向こう側にあるように霞んで届かない。


「……っ、嘘だろ。素材が、呼び出せないのか?」


アドルは呆然と自分の手を見つめた。


ミーシャの「異空間保存」への接続が、完全に遮断されている。

共有距離の限界、十メートル。


常に隣に彼女がいたから忘れていた、唯一にして最大の弱点だ。


素材も、異空間内の爆速演算も、今の彼には使えない。


「あはは! どうしたの? 急に棒立ちになって。私の黒犬たちがそんなに怖かったのかしら!」


影の中からフィアが嘲笑う。


彼女はアドルの不調の理由を知らない。


ただ、目の前の男が急に隙を晒したように見えただけだ。


床から這い出した黒い泥が、アドルの足首を蛇のように搦め取る。


「しまっ……!」


武器もない。素材も呼び出せない。

アドルは泥に引きずり込まれ、床に膝をついた。



一方、正面の戦場。

迫りくる騎士団を前に、ミーシャが右腕を突き出していた。


「アドルさんを追わせない。……ここから先は一歩も通さないわ!」


ミーシャが右腕を掲げる。

その瞳に宿る魔力が、加速的に高まっていく。


「『マナクイック』!」


瞬間、彼女の周囲の魔力が沸騰した。

極限まで短縮された詠唱。

黄金の二重螺旋が、これまでにない速度で右腕に編み上げられていく。


「小娘が……死ねぇい!」


残された大剣の破片を握り、ヴァルゴスが突進する。

だが、ミーシャのほうが速かった。


「『火炎(ファイア)』、そして『ディメンション・ブレイク』の二重螺旋!黒空炎波~!」


放たれたのは、黒い炎。

それは単なる火炎ではない。

空間そのものを物理的に叩き割る破壊力と、圧縮された熱波が螺旋を描き、ヴァルゴスの神鉄の鎧を飲み込んだ。


「なっ……!? 空間が、砕け……っ!?」


神鉄の重鎧が、内側から生じた空間の断層に耐えきれず粉々に弾け飛ぶ。

防御の概念そのものを破壊されたヴァルゴスは、衝撃波に飲まれ、白目を剥いて吹き飛ぶ。

虚飾の騎士王の、完全な敗北だった。



店の内部では、絶望がエナに迫っていた。

アドルの足を泥が飲み込み、巨大な影の爪が彼女の喉元を狙う。


「アドルさん……っ!」


エナが叫び、懐から「特級霊薬(ハイ・エリクサー)」を掴み出した。

それは飲むためのものではない。

彼女はアドルの足元を覆う黒い泥に向け、力いっぱい薬瓶を叩きつけた。


パリン!


硬質な音が響き、まばゆい生命の奔流が溢れ出す。


「な……何よ、その光!?」


フィアの影が悲鳴を上げた。

特級霊薬の過剰なまでの純粋なエネルギーが、呪いそのものである「泥」を猛烈な勢いで中和していく。

アドルを縛っていた重圧が消え、彼の周囲にだけ清浄な空間が生まれた。


「エナ、助かった!」


(もしかして聖属性が弱点か!?)


アドルは泥が消えた床に転がっていた「数枚の銀貨」と、ヴァルゴスの騎士が落とした「折れた剣の破片」を素手で掴んだ。

異空間は開かない。在庫も使えない。

なら、目の前のゴミで錬成するまでだ。


「瞬きはできなくても……錬金術これが俺のすべてだ!」


アドルは己の全力を手に込めた。

爆速の自動演算ではない。

自分の脳を焼き切るような、泥臭く必死な手作業の錬成。

手の中の銀貨と破片が赤熱し、たった一つの形へと収束していく。


「これでおしまいよ! 喰らいなさい!」


フィアが吠え、巨大な影の鎌を振り下ろした。

アドルは回避しない。

手作業で練り上げた、一振りの銀色の短剣を逆手に構える。


「……くっ、このままでは……」

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