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異世界複製錬金術師~所有した物を無限コピーするチート錬金で武器も罠も量産無双~  作者: あくす
第四幕 反撃編~対四天王~

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第120話:激突、四天王フィア

リュステリアの夜を、無数の松明の火が赤く染め上げた。

ヴァルゴス直属の騎士団が、銀の天秤を完全に包囲する。重厚な鎧の擦れる音と、地面を叩く規則正しい足音が、逃げ場のない圧迫感となって押し寄せていた。


「ルル、カミラとエナを頼む。何があっても二人を店の奥から出すな」


アドルの言葉に、ルルは力強く頷いた。


「わかったの! パピィ、アーサー、皆を守るのよ!」


ルルが召喚した二体の召喚獣が、店の裏口とエナたちが控える事務室の前で迎え撃つ。

アドルは彼女たちの背中を見送ると、ミーシャと共に店の正面玄関へと歩み出た。


群衆を割るようにして現れたのは、ひときわ巨大な体躯に、まばゆいばかりの白銀の鎧を纏った男、ヴァルゴスだった。

彼が手にする大剣からは、凡百の戦士なら気絶しかねないほどの圧倒的な威圧感が放たれている。


「アドル。貴様の小細工もここまでだ。このリュステリアに、二つのルールは不要。我が剣こそが唯一の正義だ」


ヴァルゴスの声が響くたび、空気が震える。

一級品の聖剣と神鉄の重鎧。装備に込められた魔力は膨大だが、それを振るうヴァルゴス自身の呼吸には、真の強者特有の鋭さがない。


「ミーシャ、準備はいいか」


「ええ。あの派手な鎧、私の魔力でメッキを剥がしてあげるわ」


ミーシャが右腕を掲げると、修行で磨き上げた片手二重螺旋の魔力が、黄金の奔流となって渦巻き始めた。



「総員、突撃! 逆らう者は容赦なく切り捨てよ!」


ヴァルゴスの号令と共に、重装騎士たちが一斉に襲いかかる。アドルは一歩も引かず、飛来する無数の矢を正面から見据えた。


瞬きの錬金。


アドルが指を鳴らした瞬間、ミーシャの異空間に蓄えられていた膨大な端材が素材として消費された。

コンマ数秒の間に行われた膨大な試行錯誤を経て、アドルの目前に超硬度の鋼鉄壁が爆速で組み上げられる。降り注ぐ矢の雨は、その分厚い壁に防がれ、無残に折れて地面に転がった。


「な……!? 何をした!」


驚愕する騎士たちの隙を突き、ミーシャが前へ出る。彼女の右腕には、性質の異なる二つの魔法が編み上げられていた。


「『烈風の刃(ウィンドカッター)』と『火炎(ファイア)』の二重螺旋……いっけぇ!」


真空の刃が熱を孕んで膨張し、荒れ狂う火炎がその周囲を螺旋状に包み込む。

風が火を煽り、火が風を加速させる相乗効果によって、巨大な熱波のドリルと化した魔法弾が放たれた。それは重装騎士たちの盾を容易く貫通し、衝撃波で彼らを後方へと吹き飛ばしていく。


以前のミーシャなら魔力切れを起こすような密度だが、今の彼女には無駄のない魔力制御が備わっている。


「おのれ、これしきの術で!」


ヴァルゴスが自ら大剣を振り上げ、アドルへと肉薄した。その一振りは、確かに空気を切り裂く剛力を持ってはいる。

だが、アドルにとっては、リーネの神速の剣筋に比べれば止まっているも同然だった。


アドルの短剣と、ヴァルゴスの大剣が激突する。

火花が散る中、アドルは至近距離でヴァルゴスの瞳を見据えた。


「いい装備だな、ヴァルゴス。だが、あんたには重すぎる。宝の持ち腐れだ」


「貴様……! 私の正義を、虚飾と断ずるか!」


ヴァルゴスが力任せに剣を押し込むが、アドルは軽やかな身のこなしでそれをいなし、空いた左手をヴァルゴスの足元の地面に触れさせた。


瞬きの錬金。


異空間から抽出した高密度の「重晶石」を素材とし、ヴァルゴスの足元を瞬時に泥濘へと変質させ、同時にその泥を強力な粘着性を持つ「拘束具」へと錬成し直す。


「ぐっ!? 足が……動かん!?」


「装備が重すぎて、一度バランスを崩せば終わりだろ」


アドルはさらに指を鳴らし、自分の所有する硬化素材をヴァルゴスの鎧の隙間に向かって爆速で錬成・射出した。


それはヴァルゴス自身の鎧の継ぎ目を物理的に固定し、彼の動きを完全に封じ込めた。一級品の武具を傷つける必要はない。

ただ、それを「動かない置物」に変えればいいだけだ。



アドルたちが優位に立ち、騎士団が浮き足立ったその時だった。屋敷の影、そして街のいたるところから、形容しがたい不快な笑い声が重なり合って響いた。


「ふふ……あははは! 面白いわね、本当に面白い。ヴァルゴス、あなたの正義って、そんなに脆いものだったのかしら?」


声の主はどこにもいない。だが、周囲の闇が物理的な重さを持って膨れ上がり、騎士たちの影が異様に長く伸び始めた。


「フィア……! 貴様、どこにいる!」


ヴァルゴスが叫ぶ。


身動きの取れないヴァルゴスが周囲を睨みつける。


「アドル、あなたの信頼の物語……そろそろ、取り返しのつかない絶望を変えてあげるわ。……ほら、後ろを見てごらんなさい?」


アドルの背筋に、冷たい氷を押し当てられたような戦慄が走った。店の奥、ルルたちが守っているはずの場所から、これまで聞いたこともないような不気味な黒いノイズが漏れ出していた。


ヴァルゴスの拘束に成功したのも束の間、屋敷の奥で異形の黒犬達が襲いかかろうとしていた。

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