表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
理容師 異世界転生_聖剣よりも切れ味鋭く 異世界転生した理容室は今日も世界を救う  作者: もしものべりすと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/22

第二十一章「新たな神話」

理容神が消えた後、一刀は混沌の床屋——今は「神楽の床屋」と呼ばれている——を出た。


外では、村人たちが待っていた。


「神楽殿……!」


「理容神は……?」


「解放した。彼は、元の世界に帰った」


村人たちがざわめいた。


「理容神が……消えた……?」


「ああ。だが、彼の技は俺が引き継いだ。この世界に、理容を広める。それが、俺の役目だ」


老人が前に出た。


「神楽殿……あなたは、新しい理容神になるのですか」


「理容神?」


「千年前の理容神と同じように、この世界に清潔をもたらす存在……」


一刀は首を振った。


「俺は神じゃない。ただの理容師だ」


「でも——」


「理容は、特別な者だけのものじゃない。誰でも学べる。誰でも身につけられる。俺は、それを広めるだけだ」


村人たちは顔を見合わせた。


「教えてくれるのですか……? 私たちに……?」


「ああ。今から始める」


一刀は村の中心に立った。


「理容の基本は三つ。カット、シャンプー、シェービング。これを覚えれば、穢れを祓うことができる」


村人たちが集まってきた。一刀は実演を交えながら、技術を伝えた。


「ハサミの持ち方はこう。刃の角度はこう。髪を引き出す方向はこう……」


講習は夕方まで続いた。村人たちは熱心に学び、メモを取り、質問をした。


「ありがとうございます……これで、私たちも……」


「まだ始まったばかりだ。技術は、練習を重ねて身につけるものだ」


「はい……精進します……」


その夜、一刀は焚き火を囲んでセリーヌと話した。


「これからどうするんだ」


「王都に戻る。蒸野とハジメが待っている」


「それから?」


「この世界中に、理容を広める。村から村へ、町から町へ。誰もが清潔を保てる世界を作る」


「大変な仕事だな」


「ああ。でも、一人じゃない」


一刀はセリーヌを見た。


「お前も、手伝ってくれるか」


「もちろん」


セリーヌは微笑んだ。


「私は、貴方に救われた。その恩を返すために、何でもする」


「恩返しなんかいらない」


「でも、したい」


一刀は小さく笑った。


「……わかった。頼む」


王都への帰路は、行きよりも短く感じた。


道中、一刀たちは各地の村に立ち寄り、理容の技術を伝えた。手洗いの方法、髪の洗い方、簡単なカットの仕方——基本的なことから丁寧に教えた。


「ありがとうございます……」


「うちの村にも、来てください……」


「もちろん。時間がかかるかもしれないが、必ず行く」


一刀の名は、瞬く間に広まった。「穢れを祓う理容師」「新しい理容神」——人々は彼をそう呼んだ。


「理容神じゃないって、何度言えばわかるんだ……」


「諦めた方がいいですよ。人々にとって、貴方は神なんです」


「……」


王都が見えてきた。


城壁の前には、人だかりができていた。何事かと近づくと——


「神楽さーん!」


蒸野の声だった。


「おかえりなさーい!」


ハジメも一緒だ。二人とも、満面の笑みを浮かべている。


「……ただいま」


一刀は馬から降りた。


蒸野が駆け寄ってきて、一刀に抱きついた。


「心配したんですよ……! 連絡もなしに……!」


「悪かった」


「約束したのに……絶対帰ってくるって……」


「帰ってきただろう」


「はい……」


蒸野は泣いていた。一刀は彼女の頭を撫でた。


「俺も、みんなに会いたかった」


ハジメも近づいてきた。


「神楽さん、お疲れ様でした」


「ああ。お前たちも、よく店を守ってくれた」


「いえ……当然のことです」


「当然じゃない。お前たちがいなければ、俺は安心して旅に出られなかった」


ハジメの目が潤んだ。


「ありがとうございます……」


一刀は仲間たちを見渡した。蒸野、ハジメ、セリーヌ——そして、王都の人々。


「さて」


一刀は言った。


「これから、やることが山ほどある」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ