第3章: アメリ、初めてのコンビニ
秀城は、地球での休暇の終わりに、アメリを元素界から一時的に呼び出し、現代日本のコンビニデートを敢行した。
「これが…地球の『法則の小さな集積所』ですか、秀城様」
アメリは、カラフルなパッケージの並ぶ棚に目を輝かせた。彼女は、一つの菓子パンを手に取り、裏面の原材料表示を凝視した。
「『イーストフード』に『乳化剤』、『ソルビン酸K』…秀城様。これらの複雑な添加物の結合は、『現代の錬金術』ですか?生命維持に必要のない、人工的な安定法則を食品に適用している…」
「ああ、まあ、言われてみれば、錬金術に近いかもな。美味しいだろ?」
「はい。ただ…この『賞味期限』という概念が理解できません。私たちの元素界では、法則が維持されていれば、生命も食物も半永久的なのに、なぜ、地球では『不可逆な時間の流れ』によって、食物の崩壊を許容するのですか?」
秀城は、クロノスの法則を思い出しながら、アメリの純粋な疑問に、優しく答えた。「それはな、アメリ。地球では『限りある時間』こそが、『生命の輝き』だからだよ。そして、期限が切れる前に、美味しくいただく。これも、一種の調和なんだ」
彼らは、買ったばかりの菓子パンを分け合いながら、太陽の光を浴びて、地球での穏やかな時間を過ごした。
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