第1章: ナトリの婚活事情
エレメント・キャピタルに平和が訪れて数週間。英雄となったナトリ(Na)のもとには、元素界のあらゆる種族から求婚者が殺到していた。
「ねぇ、アメリ様!またこの手紙、山積みよ!『私は高濃度のカリウム(K)の核を持つ、最高効率の雷撃魔法使いだ!ぜひ結婚を!』だって!もううんざり!」
研究室の一角は、色とりどりのラブレターと、宝石の山で埋め尽くされていた。ナトリは、本編で「不活性の知識」を得てからは、魔法の暴走は減ったものの、恋愛における「反応性」は逆に鈍くなっていた。
ナトリが出した条件は一つ。「私より熱い炎を出せること」。彼女の炎は、元素界でもトップクラスの反応熱を持つナトリウム・フレアだ。
挑戦者が次々と現れる。炎を操るイオウ族の猛者、マグマを噴き出すケイ素族の魔物。彼らは決闘場に立ち、渾身の炎を放つ。
「【イオウ噴火(S₈)】!私の炎は摂氏3000度を超えるぞ!」
しかし、ナトリは一歩も動かず、涼しい顔でナトリウム・フレアを放つ。
バシュッ!
ナトリの炎は、挑戦者の炎を「反応熱の法則」で圧倒し、挑戦者の体を一瞬で炭素化(黒焦げ)させた。
「ふん。3000度など、私の炎が触媒となる一瞬の熱量には及ばないわ。次は、炎を極めたロジウム(Rh)くらい連れてきなさい!」
ドタバタな決闘の合間、秀城はジンクに耳打ちした。「なあ、ジンク。ナトリの炎は、元素界の反応熱というより、『ヒロインとしてのプライド』の熱量で増幅されてるんじゃないか?」「ああ、間違いない。あれに勝てるのは、プラズマの核を持つ太陽か、メンデレの優しさくらいだ」
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