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ロボット  作者: いづる
8/12

いよいよ当日

昨日から泊まり込みで、当日は早朝から私達メイドは大忙しだった。庭には、豪華な花々が咲き乱れていて(もちろん、過去のモチーフであるが)今日のゲスト達の料理のフルコースも上級エリアで一流シェフが作ったものを届けさせていた。アンナは料理の腕を振るえなかったのが残念だった。だが他の準備に大忙しで、特に悔しがりはしなかった。ゲストたちが来る前に料理の確認、テーブル席のセッティングや各席のゲスト名の確認、そして音楽の確認等大忙しで私たちは走り回った。実際は目や腕や足が捥げていたので、それほど速くはなかったが。

この日のために、私たちはお揃いのメイド服を新調してもらった。それは、白い胸当てが付いたエブロンで裾にはフリルが施してあり、この新品のエプロンをつけて私たちの気持ちは更に舞い上がっていた。


夕方7時頃になって、ゲスト達は次々にやってきた。彼らは、女性が一様に同じような赤のきらびやかなドレス、男性は黒のスーツ姿に黄色の蝶ネクタイそして、これもまた男女とも同じような派手な仮面をつけていた。見た目では、誰が誰かはわからない。メイド達は、初めてみる趣向に少し驚いたが、すぐに慣れて来た。


入ってきたゲスト達は、エレベーターで2階の居間に通された。そこには、アンナたちが早朝から用意した花々や白のレースが施されたテーブル席が置かれていた。

その上には、ステーキや彩りがあざやかなサラダや魚介類など、下級エリアの食卓では、一生見られない贅沢な食事が並べられていた。(この地上の生物がほとんど崩壊した現代においては、すべての食べ物が合成して作られたものであるが)そして、メイドは順番に飲み物をお注ぎする。


らるは、皆が席に着いたのを見計らってテーブル席の前に立ち


「今日は我が家のイベントへ空の上から、地上に降りて下さってありがとうございます。今日は待ちかねた趣向も用意しておりますので、この3日間は存分にお楽しみいただければ幸いです」らるは、先ほどまで見慣れた部屋着だったのが、皆と同じ黒のスーツ姿に蝶ネクタイといった服装に着替えていた。


「そして、この今日のイベントの前準備から始まって3日間お世話させていただくメイド達です。彼女たちのおかげで今日からのイベントが開催できるのです。さあ、拍手で迎えてやってください」らるの手招きによって、らるの横に並んだメイドロボット達は、恥ずかしいやらうれしいやらで興奮を隠せなかった。


「さあ、彼女たちに拍手を。このイベントの主役たちなのですから」その一言でひと際ゲスト達の拍手が沸いた。


(上流階級や中流階級のゲスト達が、私たちに拍手してくれてる)

(らるったら、本当に社交上手なんだから)

(私たちもまんざらでもないのかも)

(うっ、うれしい)

(‥‥)

(私たちが主役?!)

(今日の日は忘れられないわ)

(この派遣に来てよかった)

(こんなうれしいこと初めて!!)

(!!)

彼女たちの様々な心の声が発せられていた。

それに反してゲスト達の仮面の下の射すような異様な目の光に、メイド達は誰一人として気づかなかった。

1日目は夕食の後の演奏会、その後のダンスパーティー等で催しは終了した。

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