第33話 錬
(ふうー。ちょっと休憩でもしようかな)
錬は、マネからもらった大学部の問題集を解いていた。喉が乾いたので、紅茶の作り置きを取りにいく。
その時外から、入ってきたケラスと目があう。
「錬か、なんだか久し振りだなあ。一人かあ?」
「ああ、最近僕のことなんて誰も構ってくれないからな」
「そんなことないだろう」
「ケラスだって、勝手にいなくなるし‥」
「ちゃんと、ことづけはしていったぞ。勉強していたのか?マネから、ずっといろんなことを教えてもらっているもんな。俺なんか、ロボットのくせに何も教えることないし‥‥ハッハッハッ」覇気がない笑いである。
「何言ってるんだよ。最近まで腕にぶら下がったり、肩車してもらったりして遊んでくれてたじゃないか」
「そんなことしか、出来ないんだぜ」
「それってすごいことなんだよ。他の子達は、お父さんにしてもらうんだから」
「そうか‥‥俺さ。ロボットのくせに、父性ってのがわかる気がするよ」そう錬のことは、可愛くて仕方がなかった。マネと小難しい会話をしていても、まだ錬は10歳なんだから。
「今日仕事場に、寮つきの仕事募集のルリ(紙)が入っていたんだ。俺は、この家を出ようと思っている」
「そんな、大事なこと勝手に決めないでよ。また、ことづけだけして出て行く気なの!!」
「おい、おい何するんだよ!!」急に錬に抱きつかれて、戸惑う。
「どこにも行かせないよ。僕のお父さん代わりなんだから」
「‥‥可愛いこと言ってくれるじゃないか。よおし、くすぐり攻撃だあ」
「アハハ。ハハハハハずるいぞケラス」ケラスから、腕が離れていく。
「錬の気持ちはわかったよ。家族会議を通してからにするよ。ソマの顔を見るのはつらいけどな」
「姉ちゃんのどこがいいんだよ。俺が、近所の可愛い子を紹介してやるよ」
「プップッ、その子たちっていったいいくつだよ⁈」ケラスは笑い転げる。




