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ロボット  作者: いづる
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ソマの帰路

仕事を終えたソマは、いつもの道を歩いていた。足元には砂利が散らばる不揃いな道は、舗装もされておらず自然のままの状態だ。両脇には白い平屋が並び隣の家との境を示すように茶色い扉が並んでいるが、色が同じなのでどの扉がどの家に属するのか区別がつきにくい。


道の突き当たりにある30段ほどの階段を上ると、さらに家々が続き両脇に続いていて段々畑のように3段目まで家々が建っていた。その建物の裏には広大な畑が広がっており、2畳程度の区画が家賃とは別料金で住民に貸し出されている。自給自足には程遠いが、確実に飢えることは無くなった。


これは、10年前に政府が建てた仮の掘っ立て小屋に比べると格段に贅沢な造りだ。多額とは言えないが、これまでとは違い下級エリア民にも政府予算が割り当てられたのだ。


同じ時期にロボットの不法投棄防止条例が厳しくなり、むやみに不法投棄ができなくなった。その防止策として金持ちが不要になったロボットでも、まだ使えるものを下級エリア民に回すリサイクル回収品の店が数店舗開店した。また、壊れたロボットや電気機器を格安で修理してくれる店もできた。とはいえ働ける場所や手持ちの電化製品が少なく、収入源も乏しいため店を上手く活用できていないのが現実だ。


これの改革策として雇用の斡旋が始まった。


我が家でも、力自慢のケラスはこの地区の建物建設や道路の補修などの人員募集で働き、アンナ、ベベリッヅィ、アラクレカラーも作業員の世話係や臨時雇用で働いてくれている。


マネも、可愛らしい12歳ぐらいの容姿とは裏腹に教授並みのAI知能を持ち、建物の設計補助や学校設立時の教師指導などで活躍している。時には自らも先生となり、未来の子供たちを育てている。


我が家では、こうして3体の忙しいロボットに支えられ、ソマは当時0歳だった錬の未熟な母親業を専業して行うことができた。


とはいえ、家計的にはまだカツカツの状態だ。ロボットたちは充電池と別途燃料が必要でリサイクル品で賄えるとはいえ、かなり家計を圧迫しているのが現実だ。充電池も安いものは結局、新品のものより4分の1ももたなかったりする。燃料も半端なものを足して作られているので、かなり粗悪なものであり申し訳なく思いながらもそれで補ってもらっている。


私たちは精一杯の生活で支え合っていた。


そしてこの集合住宅では、各々の畑で収穫し余った作物は他所の作物と物々交換をするなど、住民たちの間には村のような連帯感が生まれてきている。


暴動が起きる前は自分たちで掘っ立て小屋と個々の領域を守ってきたが、今は大きな揉め事や住民の相談事なども、政府が定めた数人の管理人に収めてもらうことができるようになった。これは住民の大きな心の支えにもなっている。








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