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ロボット  作者: いづる
21/33

ソマとリンネ

 ソマは、フラが帰ったあとも、自分の「やるべきこと」を見つけられずにいた。


(私のやるべきことって……いったい何?)


とりあえず、広すぎる屋敷の中をウロウロと歩き回る。

中利様の家や、らるの家とは──(アンナのことを思うと思い出すだけで怒りがこみあげてくるけれど)──比べ物にならないほど、この家は豪華で広かった。


一つ一つの調度品も、どれも初めて見るようなものばかりだ。


ふと、飾り棚の上に目がとまる。いくつかの写真立てが、無造作に裏返して重ねられていた。その下には「カリアン」(オセロのような盤上ゲーム)が置かれている。


気になって、一つの写真立てを裏返してみた。


写っていたのは、中利様とリンネ様の写真だった。

中利様は今より随分、若くてパーブルのワンピースが良く似合っていた。リンネも、今とほとんど変わらなくて、二人とも親子と言うよりは恋人同士のように仲良く微笑んでいた。


(……どうして、裏返しにしてあるんだろう?)


ソマは手に持っていた雑巾で、写真立てを丁寧に拭き、表向きにして棚に飾り直した。


それから、また何となく歩き回る。


(んー……私の“やるべきこと”かあ。難しいなあ……あ、そうだ。リンネ様もいないし、ちょっとくらい、いいよね)


ソマは、大きな壁に向かって手をつき、頭を壁にあてて、床を蹴る。


子供の頃によくやった、逆立ちだ。


(懐かしいなあ。近所の子たちの中で、私が一番長く逆立ちできたんだっけ)


でも、今は違った。

両腕はすぐにブルブルと震え出し、顔が熱くなって、ほんの数秒で床に倒れ込んでしまった。


(……時が経ったとはいえ、なんか悔しい。よし、もう一回!)


◆◆◇◇◇◆◆◇◇◇◆◆◇◇◇


「うーん、もうお昼か。あの人間の様子でも見に行くか」


仕事に集中していたリンネは、体内のアラームに気づいて席を立った。

部屋を出て階段を降りようとしたとき、視界の端に何かが見えて、足を止める。


「な、何やってるんだ⁈」


階段を降りながら、飾り棚の前を通りすぎたとき、明らかな“違和感”を覚えた。


「写真立てが……飾ってある……⁉」


リンネの顔に険しい影が落ちる。


「……ちょっと一言いってやるか」


足早にソマのいる方へ向かった。


「お前、いったい人の家で何してるんだ?」


「えっ、リ、リンネ様!? きゃあっ!」


突然視界に現れたリンネに驚き、逆立ちしていた体勢を崩して床に倒れるソマ。


「あ、あの……すみません。やることが見つからなくて……」


「だからって……お前、今日ここに何しに来たんだ?」


「……すみません」


リンネの怒った口調に、ソマは何も言い返せなかった。


リンネはしばらく黙ってソマを見つめていたが、ふっと表情を緩める。


「……まあ、いい。確かに、フラの後じゃ、何もやることが残ってないのはわかる」


そう言うと、リンネは少し引き返し、再び戻ってきたときには「カリアン(オセロゲーム)」の箱を手にしていた。


「ちょうどいい。いいこと思いついた」


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