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ロボット  作者: いづる
20/33

ソマとフラ

 リンネが冗談のように言ってから二日後。

 ソマは、一カ月ほどリンネの家で働くことになった。


正直、あまり気は進まなかったが仕事が増えるのはありがたい。


(アンナのことで世話になったし、この際、私情は押し殺して頑張ろう!)


リンネの家は、上級エリアにあった。

そのエリア自体が、空中に浮かぶ都市なのだ。


ドーム内には、約300世帯が暮らしている。


地上には、数機の頑丈で特殊なエレベーターが固定されており、ソマはその一つに乗り込んだ。


透明な壁に囲まれたエレベーターは、景色と一体化していて、まるで空を飛んでいるような感覚を味わえる。


中利様の家で何度か経験していたとはいえ、ここまでの高さは初めてだった。


下層エリアのごちゃごちゃした平屋の家々が遠ざかっていき、中級エリアのドームも追い抜いて、やがて雲を突き抜ける。

高度は地上から5000メートル。到着までに時間はさほどかからない。


乗り降りには視点認証と個人番号による厳重なセキュリティがあり、誰でも乗れるわけではなかった。


◆◆◇◇◇●○○


到着すると、もう一人のメイドロボット・フラが出迎えてくれた。


「よ、よろしくお願いします。私はソマです」


「私はフラ。中利様の家では時間が合わなくて会えなかったわね。よろしくね」


気さくな口調のフラに、ソマの緊張も少しずつほぐれていった。


リンネの家は、絵本の中の宮殿のようだった。

豪華な造りに、見たことのないデザインの家具やインテリア。まるで別世界だ。


玄関を入ると、入口近くのソファにリンネがくつろいでいた。彼女は整った顔をこちらに向ける。


「今日は、フラについて回ってくれればいい。あとは時間まで好きにしてて。途中、顔は出すようにするから」


それだけ言うと、リンネは絨毯の敷かれた幅広い階段を上っていった。


「あ、あの……」

ソマは戸惑いながらも声をかけようとした。


「リンネ様は、いつもあんな感じよ。気にしないで」

フラがフォローしてくれる。


「さっそく掃除を始めましょう。この家にはAI機能もあるから、とっても楽なのよ。まずは見ていて」


「は、はい……!」


恐縮しながら返事をすると、フラは壁にあるいくつかのボタンを操作し始めた。


ボタンを押したとたん、何台もの円形の掃除ロボットが動き出し、床の掃除を始めた。

その間にフラは机や調度品を手際よく拭いていく。階段や手すりも、あっという間に綺麗にしてしまった。


客間や他の部屋も次々と回っていく。とはいえ、毎日掃除しているのだろう、どこもほとんど埃ひとつない。


「わあ……すごい」

分かってはいたが、ソマにはすることがなかった。

邪魔にならないように、雑巾を持ってフラの後をついていく。


2時間ほど経った頃には、ソマの足は疲れていた。人間にとっては、それなりの運動量だ。


「よし、これで私の仕事は完了。私は他の仕事があるから先に帰るわね」


「あ、あの……私、何も役に立てなくて……ごめんなさい」


「ふふ、気にしなくていいのよ。あなたには、きっとあなたのやるべきことが見つかるから」


そう言って、フラは色白の可愛らしい顔で笑った。


「⁈」

ソマは、その言葉の意味を理解しようとしたが、うまくつかめなかった。


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