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山中に広がる波紋 第2話

所沢航空管制センター。

 昼下がりの管制室は、いつもと変わらぬ忙しさに包まれていた。

「All Japan Air136便から、非常周波数121.5にノイズの報告です」

 臼田管制官が、メモを取りながら言った。

「位置は?」 「木曽町上空。巡航高度35000フィート」

 その一言で、周囲の視線が一瞬、集まる。

 木曽町。

 山岳地帯で、人家は少ない。

 しかも、121.5MHzワンツーワンファイブ――非常周波数だ。

「他便の報告は?」 「ありません。現時点では単独です」

 臼田は、わずかに唇を引き結んだ。

 単独。

 しかも、地上起因の可能性が高い。

「……小海上席に回します」

 臼田は席を立ち、上席管制官である小海のデスクへ向かった。

「木曽町上空で、121.5にノイズですか」

 小海は、地図モニターに視線を走らせる。

「この辺り、常設の航空無線施設は……ないな」 「はい。民間も、自衛隊も該当なしです」

 数秒の沈黙。

「念のため、ログをまとめろ」 「はい」

 小海は続けて言った。

「それと――長野だな」 「長野、ですか」 「電波案件だ。総合通信局に回す」

 その一言で、管制の仕事は、空から地上…総務省へと引き渡される。

 空の異変は、

 やがて――

 長野総合通信局の“昼行灯”の耳に届くことになる。

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