AirPortEmergency 第4話「静かな空港、ざわつくひまわり」
翌週。
ニュースサイトの経済欄に小さな記事が載った。
> 【速報】中国製FMトランスミッター、電波障害でリコール
全国に約1万台流通、全額返金へ
記事には「航空機の安全運航に支障の可能性」とまで書かれている。
これを読んだひまわりタクシーの社長は、事務所で頭を抱えていた。
「全国ニュースになっちまったぁ……! “新潟空港で発覚”って、がっつり書かれてるじゃねぇか!」
「社長、うちの名前は出てないっすよ」
「でも、社員の家族が読んだらバレるだろ! “あんた、空港で変な電波飛ばしたんじゃないの?”って言われたらどうすんだ!」
事務所はまたしても蜂の巣をつついたような騒ぎになった。
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そんな中、戸隠と名立が改めてひまわりタクシーを訪問。
名立が書類を手に朗らかに説明する。
「皆さんが使っていた機器は、メーカー側で正式にリコールになりました。返金対応もしてくれるそうですので、購入したレシートや明細があれば……」
運転手たちから「レシート? もう捨てたぞ!」「通販で買ったけどショップ閉じてた!」と次々に悲鳴が上がる。
名立は気まずそうに笑った。
「ま、まあ、その辺はメーカーも考慮するみたいなので……」
すると戸隠が口を開いた。
「レシートがなくとも、製品本体を送れば対応すると聞いている。安心しろ」
ほっと胸をなでおろす運転手たち。だが戸隠はそこでぼそりと付け足した。
「ただし……これも結局、国民が“安さ”に目がくらんで選んだ結果だ。政治家が“安い輸入品を流通させろ”と制度を緩めたのも事実だが、その政治家を選んだのも、他ならぬ国民だ」
場が一瞬シンとした。
名立が慌てて「ははは、まあまあ、それはそれとして!」と笑ってごまかす。
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その日の夕方。
空港のグラウンドスタッフから「ノイズが消えました!」と連絡が入った。
滑走路に響くクリアな交信音。戸隠は受話器を置き、ようやく深いため息をついた。
「結局、電波の世界に“魔法の安物”は存在しないってことだな」
名立がにやりと笑う。
「じゃあ、俺が今度買ったワイヤレスイヤホンも危ないですかね?」
「それは……」
戸隠はじっと彼を睨み、そして肩を落とした。
「……いちいち俺に聞くな。自分で調べろ」
そう吐き捨てるように言うと、戸隠は庁舎をあとにした。
夕暮れの空は澄みわたり、まるで「電波障害なんて初めから無かった」と言わんばかりに静かだった。
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― 完 ―




