表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/51

2-2




私はかなり大火傷を負った挙句、骨や筋肉も少なからず損傷していたはずだ。



だが、今は自分の力で座ることができている。



…それどころか、最初に感じた通り、今はとても体調がいい。



間違いなく、回復魔法だ。それも、かなり大量の魔力が必要なもののはず。



「…私の傷は、お二人が治療してくださったのですか?」



「おうよ!」



…威勢のいい返事が聞こえるが、猫さんが冷静に遮る。



「調子に乗らないで、魔法を使ったのはワタシ」



「魔力貸してやったじゃねえか!」



回復魔法が得意な人に助けてもらえるなんて、とんでもない幸運である。



「…お二人とも、本当にありがとうございます。」





他にも、目的地も気になる。丸一日寝ていたということは、相当長いこと馬車に揺られていたはずだ。



「そういえば……今は一体、どこへ向かっているんですか?」



「街よ、ワタシたちの住んでる街」



「俺たちみたいな獣人だけじゃなくて、目が三つもあるのとか、もちろん、嬢ちゃんみたいなエルフだっているぜ。」



「オレたちみたいな……なんて言われても、こっちからじゃわからない」



「おっと失敬。俺は何を隠そう、狼の獣人さんよ!」



それから、二人はいろんなことを話してくれた。



「ワタシたちの町は、小さな街よ……住民は大体、元の住処を追い出された人たち」



「俺もそんなうちの一人、ってわけだ。もちろん、移住先を見つけて出ていくやつもいるが、なかなかどうして住み心地がよくてな。すっかり定着しちゃってるってワケよ。」



「見た目はただの人間とは違う人ばかりだけど、心配しないで……みんな、優しい人ばかり」



「そうだ。嬢ちゃん、街に着いたら、温泉に入ってきなよ。街の名物なんだ。疲れもとれるし、標高が高いとこにあるから、景色もいいんだ。」



「…お風呂だってさ、いやらしい」



「そんなんじゃねえって!」



二人が繰り広げる茶番を聞いていると、慣れない馬車での長旅も苦にはならなかった。



…きっと、私が不安にならないように気遣ってくれているのだろう。



おかげで、心に残っていた緊張感や警戒心が、少しずつ解れていった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ