表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/54

1-4


父も母も、私に謝罪の言葉を言ってくるようになった。



でも、私は全くもって責める気もないし、そんな言葉は望んでいない。寧ろ……



「私は、私の髪や、瞳……いや、身体の全部。とても美しくて、気に入っているの。周りの人が褒めてくれるとき、お父さんとお母さんのことも褒められているみたいで、なんだか誇らしい気持ちになれるから。」



…寧ろ、感謝しているから。



「…だから、謝らないで。私は二人に似て美しく育ったんだって、自信をもって言わせてください。」



もしかしたら本当は、私のことを疎ましく思っているのかもしれない。そうも思ったが、私は私が伝えたいことを、素直に言葉にした。



…その次の記憶は、三人で、抱きしめあった記憶。



二人が私のことを突き放すなんて想像は、杞憂に終わった。





今後のことを、家族三人で話し合った。



早いうちから身を隠していたので、私たち家族の秘密に感づいたりした人などいないはずだ。このまま内密に、事を運ぶつもりだ。



第一に、この国で生活していくことは難しい。



国民の殆どが宗教の信徒であるこの国で、私の姿を受け入れてもらうことは正直不可能だろう。



だから、受け入れられるほかの国に引っ越そう。それが一家の出した結論だった。



これまでの安住とはお別れになるわけだが、愛しの家族に囲まれた私は、何の憂いも抱いていなかった。



… 





一週間ほどかけて、引っ越しの準備が終わった。私は既に、引っ越しの旨と友達への別れの言葉を綴った手紙を、学校に送る手配をしてある。



もう一度だけ、友人たちの顔を見てから発ちたかったが……。厄介事を避けるため、やめておいた。



母も、もう準備は終えていた。



あとは父が戻るのを待つだけだと、星と街灯の光を数えながら窓の外を眺めていると、ちょうど父の姿が見えた。



十八年弱住んだこの町との別れが近づいてくるが、もう決心はついている。



よく見ると、その後ろにもう一つ人影が見える。あの左目の傷は……教会の司祭?



引っ越しのことを聞きつけて、見送りにでも来たのだろうか。



いや、まだ私たちの引っ越しのことを知っている者はいないはずだ。



それに、私のことを知られてはまずい。



一体、何をしに此処へ_______________________
















評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ