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社会問題エッセイ

罪を犯しても野放しに!? 「塀のない刑務所」とは何か?

作者: 中将

筆者:

 本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。


 今回は日本財団が法務大臣に提案した「塀のない刑務所」について個人的な解説と意見を述べようと思います。



質問者:

 何なんですかその刑務所は……。



筆者:

 非常に簡単に申し上げるのでしたら、拘禁刑(25年6月に懲役刑と禁錮刑は拘禁刑と名前が統一される)の犯罪を犯した受刑者が普通に日常生活を送りながら公正をしていくものです。



質問者:

 率直に言って怖いんですけど……。刑務所に行ってしまうような罪を犯している人って大抵結構悪い犯行ばかりじゃないですか?


 どんな目的でそんなことを考えているんでしょうか?



筆者:

 日本財団のページからその意図を読み取りますと、


『社会復帰の支援をしてきた。しかし、支援するなかで浮き彫りとなった課題が、社会復帰までの準備不足、更生意欲の欠如だった。塀のなかで隔離された生活から突然社会に放り出されて戸惑うケースが多く、ゆるやかな社会復帰ができるような新たな取り組みの必要性がポイント』


 とあります。


 つまり、「拘束されている間に社会と隔絶していき、社会復帰がしにくくなっているという事が、再犯率を高めている」と考えているようなのです。


 また、日本全体が高齢化に伴って労働力不足に直面しており、労働力確保にもなると見ているようです。



質問者:

 具体的にどういう構想を日本財団さんは持っているんですか?



筆者:

 1月23日のANNの記事では


『日本財団の笹川陽平会長は23日午前、鈴木法務大臣に、「塀のない刑務所」の整備を求める提言書を提出しました。提言書では受刑者が塀のない施設に暮らし、民間の職場に通うインターンシップに参加することや刑務所にカフェを併設し、地域住民を接客するなど、スムーズな社会復帰ができるようなモデル施設の整備を求めています。


 社会復帰の意欲があり、釈放後も塀のない施設がある地域での生活を希望している受刑者から選ぶとしています。一方で、逃走などに備えた保安警備については、カメラや生体認証など最新の機器を用いて管理するとしています。GPSを装着させるかについては検討するということです。』


 とあり、地域住民とも接する形をとるようです。




◇海外のケース



質問者:

 それじゃ、やっぱり怖いじゃないですか……。


 こういうのって大抵は海外のケースがあるから日本にも採用しようとしていることって多くないですか?



筆者:

 確かにそうです。


 アメリカのニューヨーク州では2020年から暴力を訴因としない犯罪については、

それが重罪であったとしても基本的には拘置所に入れず、裁判が終わるまで被疑者の足首に電子モニターをつけるという形で釈放するという法律に変えました。



質問者:

 それで再犯率はどうなったんですか?



筆者:

 直後はコロナ渦だったこともあり、最悪だったようです。


 市で強盗や窃盗で逮捕された者の約5人に1人が、釈放後60日以内に重罪で再逮捕されていた。保釈金改革法(2020年施行)施行以前の2017年と比較すると、3倍の増加となる。また、軽犯罪の窃盗で、昨年、逮捕された容疑者は、釈放後すぐにより重い犯罪に手を染め、21.6%が2カ月以内に重罪で起訴されていたようです。


 17年の8.1%の2.5倍以上。昨年の強盗容疑者の釈放後60日以内の再犯率は23.7%で、17年の7.7%から208%急増。重窃盗罪は、6.5%から19.7%へと203%の増加。自動車窃盗は、17年の10.3%から昨年は21%へと2倍以上増加したようです。


 こうした社会不安からニューヨーク州の人口はこの年と翌年は40万人減ったようです。



質問者:

 最悪じゃないですか……。



筆者:

 しかし2023年からは徐々に通常の再犯ペースより少し悪い程度に落ち着いたようです。

 これはニューヨーク州には「執行猶予」と言う観念が元から無く、日本には既に執行猶予があるという事を考慮入れておく必要があるでしょう。


 ノルウェーのケースでは執行猶予がある制度でありながら再犯率は通常より下がったものの、GPSを装着しているにもかかわらず脱走率も2%を超えたという事が明らかになっています。


 大井造船作業場で日本でもこの「塀のない刑務所」の実証実験が行われたそうですが13人中1人が逃亡をし後に捕まったといったことがありました。


 このようにGPSを付ければ思ったよりは再犯率は上がらないものの、

 逃亡などのリスクはあるために、一定区画内で働いていて生活していても、周辺住民が一定以上の恐怖に曝されることがあるように思います。



質問者:

 なるほど……何か初めて聞いた感じよりは悪くないですけど、

何かイメージ的に嫌であることには変わりないですね……。



筆者:

 そもそも「犯罪者の運営カフェ」とか言われたら「財布が盗まれたりするんじゃないか?」とか不安になりますしね。(主に盗みや詐欺の人が中心になりそうなため)


 それは当然の反応と言っていいです。



◇改善案



質問者:

 現状の拘禁刑にも問題があることは間違いないと思うのですけど、どうしたら良いんでしょうか?



筆者:

 まずこの「塀のない刑務所」への改善案ですが、記事には「GPSについては検討」とありますがこれは絶対に必須です。


 GPSがある状態ですら再犯率はありますし、逃亡のリスクが先行して導入している国ですらありますからね。

 外に出られることを有難いと思い、それぐらい受け入れるべきです。


 また「被害に遭った方々の理解」も必要だと思います。財産的だけでなく精神的に傷ついている可能性もありますから、「大した反省も無さそうでのうのうと暮らしている」と思われるかもしれません。

それらの方々の全員の同意も必須ではないかと思います。

 

 次に、本来刑務所に入っているはずの人たちが外に出て、住民側がリスクを背負う事になるわけですから、損害は「受け入れた側の会社(若しくは提案して日本財団)」が賠償をすぐさま支払い、後で受刑者に返済させるべきです。



質問者:

 確かに、治安が悪くなりつつあるのに更に刑務所にいる人たちが外に出て、本来怖い思いをしなくていいのに追加で怖くなるだなんてあんまりですからね……。


 と言うかそもそも刑務所と言うのは社会と隔絶された場所で反省を促すものなのでは?



筆者:

 そうですね。

 僕はそもそも元囚人が社会復帰できないことのリスクを「外の普通の人間に押し付ける」というこの「塀のない刑務所」と言う考え方そのものが気に入りませんね。


 「刑務所内の受刑者同士で社会復帰のプログラムを組んでくれ」と思います。


 「外の人間」が欲しいのであれば、過去に受刑者であって今は更生した人を呼べばいいだけだと思います。



質問者:

 確かに……。



筆者:

 こういった「一般人に行政負担・責任を押し付ける」と言う流れはあらゆるところであります。


 例えば年金については「足りない分は積み立てNISAへ」と言う流れが出来ています。


 災害対策についても政府が人員を雇って復興では無く「無料ボランティアを集める」といった具合でまだまだ復興が道半ばだったりします。


 これが、「小さな政府」を目指し、年金負担や行政復興を完全に自己責任や共助にするのならばまだいいと思いますが、

 増税や社会保障額を実質的に増やす流れを作っておきながら、

 負担を民間に丸投げと言う傾向にあります。


 これでは正直「あんまり」だと思います。



質問者:

 今の日本は増税して自己責任を押し付けるという最悪の状況なんですね……。



筆者:

 今の日本財団の会長の笹川陽平氏は笹川良一(日本船舶振興会初代会長)の三男であります。

良一氏はモーターボート(公営ギャンブル)の事業を独占。

 1968年には岸信介、児玉誉士夫らと発起人となり、旧統一教会系統の「国際勝共連合」を設立したり、岸田前首相と縁戚であったりと“あっち側の人”と言う感じなのです。



質問者:

 その路線に沿った話だと現実味があるという事ですか……。

 既得権益者と言うのは本当に強大なんですね……。


 日本は今後もこう言った人たちに牛耳られて増税路線ですからあまりいい未来が見えませんね……。



筆者:

 ただ、全世界でもそれぞれの国で難民問題があったり、民族差別があったり、貧富の格差があったり、「その国の中で既得権益者」で無いと厳しい国と言うのはたくさんあります。


 言語や文化の壁を容易に乗り越えられる人じゃないとちょっと厳しいのではないかと思います。


 いわば何の罪も無いのに生まれながらにして、上級国民以外の全員がある種の「塀のない刑務所」にいるような感じなのだと思います。



質問者:

 確かにそう思っても仕方ないぐらい過酷な現実社会ですよね……。



筆者:

 それを少しでも打破するために政治を変えるための言論や、

 生きやすくなるための考え方を提供できたらと思いますね。


 ということで、ここまでご覧いただきありがとうございました。


 普通に日常生活を送りながら公正をしていく「塀のない刑務所」というのは再犯率は意外と少ないものの、逃亡リスクがあるためにGPSなどの対策が必須であること。

 行政コスト負担を民間に押し付けつつ増税もする流れがあること。

 ある種ほぼ全員が「塀のない刑務所」にいるようなものでは無いか? という事をお伝えしました。


 今後もこのような政治や話題になっていることについて個人的な解説をしていきますのでどうぞご覧ください。

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