やり過ぎた男
「助けてくれー! 俺は強盗も強姦もやって無いんだぁー!
ましてや連続強盗殺人なんてやってないんだよぉー!
それに詐欺も横領も濡れ衣なんだぁー!
出してくれー! 死刑なんて嫌だぁー! 死にたくないよー! 助けてくれー!
お願いだぁー!」
俺は明日死刑になる。
俺が体験した事を話すから聞いて欲しい、死刑になる奴の戯言だと聞き流しても良いけどな。
俺はこの大都会で強請、タカリを生業にしていた。
やっぱり犯罪者じゃないかって? それは否定しない、でもね俺がやっていたのは強請とタカリそれだけなんだよ。
目を大きく見開き耳をそばだてて他人が人に知られたく無い情報を集め、詐欺や横領で大金を手にした奴の所に行って分け前として儲けの半分を頂いたり、社会的に地位のある立場なのに殺人や強姦をやっちまった者の所に行き口止め料を頂いてたりしていただけなのさ。
そんな訳で生粋の犯罪者だけでなく、此の街の有力者の半分近くがお得意様だった。
ある日、何時ものように儲けの半分を頂きにお得意様の所に行ったら待ち構えていた警官に逮捕される。
警察署に連行されると思ってたら、警察署の前を素通りして裁判所に連れて行かれた。
裁判所で連れて行かれて嵌められた事に気が付く、裁判所で俺を待っていた者たち、裁判官も陪審員も検察官も弁護士も満員の傍聴席にいる奴ら全員が俺の顧客だったからだ。
裁判で俺は発言を一切許されず、その法廷にいる奴ら全員が犯した罪の全てを擦り付けられる。
死刑の判決を下した裁判官は最後ににこやかな顔で俺にこう言ったよ。
「お前は身の程をわきまえずにやり過ぎたのだ」とね。