第4章 第18節:「妊娠」
環と会えなくなって三ヶ月ほど過ぎた頃、思いもかけないメールが立て続けに環から送られて来た。
「ありがとうございます。私はあなたの子を無事身籠ることができました。検査薬では、確認していましたが、昨日、エコーで娘と確認することができました。今、私はとても幸せです」
このメールで、一瞬にして私は頭が真っ白になった。
しばらく、何が起こっているのか理解できなかったのだ。
ようやく事態を理解し出すに連れて身体が震えだし、止めようにもどうしても止めることができなかった。
震える手でもどかしく、次のメールを開いた。
「あの時、私が言った『毎朝基礎体温をつけています』と言ったことは事実です。ですから決してあなたに嘘を言ったわけでありません。でもそれは、避妊のためではなく、あなたの子を身籠るために測っていたのです」
私は青ざめ、膝までが震えだし、環と初めて出会った時の、あの異常な感覚が鮮明に蘇って来た。
私は、立っているのがやっとだった。
私は、急いで次のメールを開いた。
「もし、妊娠していなければ、あなたの子供を身籠るために、もう一度何も言わずにあなたの元に戻るつもりでした。でも、これであなたと会うことは、もうありません。それは、あなたが私に溺れ、ありきたりの幸せに埋没する姿を見たくないからなのです」
私はとうとう膝から崩れ落ちたが、助け起こしてくれる人は、もう傍に誰もいなかった。