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第4章 第12節:「連結」
初めて環と出会った時のように、私はまた凍りついてしまった。
環の言ったことを、私がとんでもない意味に勘違いしているとしか思えなかったのだ。
どのくらい時が経ったのか分からなかった。
死んだような静寂の中、環は小さな声で再び意思を伝えてきた。
「あなたでなければ、言えないことなのです。私のベターハーフはあなたなのです。どうかシュラフを連結してください」
その時、もう環の声は震えてはいなかった。
私の頭の中に、今朝言った環の独り言が鮮明に蘇った。
「その時が来た」
環が言ったのは、このことへの決意だったのだ。
私は黙って立ち上がり、自分と環のシュラフを連結した。
そして、環に添い寝し、私の腕に環の頭を乗せ、いつも環からされているように、やさしく撫で始めた。
環は目を瞑り、じっとされるがままだった。
私は、このまま環が眠りついてくれることを切望していた。
それは、一度でも一つになってしまえば、ただの馴れ合いの関係に堕落してしまうことが怖かったのだ。
私は、ただひたすらやさしく環の頭を撫で続けた。