第4章 第6節:「窓明の湯」
その温泉はスノーシェッドの途中から左折し、川を渡って行くようになっていた。
案内看板に従って入って行くと、すぐに目の前が開け、以外にも大きな駐車場があり建物も立派なものだった。
ここも人気があるらしく、まだ昼前なのに駐車場は半分ぐらい埋まっていた。
パンフレットを読むと、公共の日帰り温泉で、畳敷きの大きな休憩室で宴会やカラオケができるようだ。
きっと、娯楽施設の無い山間地帯なので、近郷近在の人たちの憩いの場になっているのだろう。
「時間はまだありますから、ゆっくり入ってください。私は、ザッと入ったら車で寝ています。実は、昨日はよく寝ていないんです」
「私もそう!本当に波長が合ってきたみたい!」
友達口調でこう言ってから、嬉しそうに環は女湯へと向かって行った。
ざっと身体を洗ってから、どっぷり温泉に浸っていると身体が温まり猛烈な睡魔が私を襲ってきた。
満腹のところに温泉では、睡魔に勝てるはずもなかった。
湯冷めをしないように水のシャワーを浴びて、車に戻って仮眠することにした。
車に入り運転席を倒して横になると、私はすぐに前後不覚に眠り込んでしまったのだ。