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 第1章 第18節:「精算」

「どうして、そんなに強くなれるのですか」力なく、私は尋ねた。


「あなたも何度も死んで見ればわかります」

悲しそうに女は言った。


「メールアドレスを教えてくだされば、後で必ず連絡します」

今日一日、この女に翻弄され続けた私は、限界に達している精神を一刻も早く鎮める必要があった。

逃げたい一心から、私は譲歩をせざるを得なかったのだ。


女は、まず私のアドレスを聞いて、その場で私の携帯にメールを送ってきた。


「入力が大変でしょうから、このアドレスに返信してください」と、女は言ったが、私のアドレスを確認したかったのだろう。

逃げ道を全てふさがれ、私は確実に袋小路に追い込まれていたのだ。


メールには「これからもよろしくお願いします」と書いてあった。


私には「これからも」という文字が、とてつもなく大きく見え、言い知れない気だるさが津波のように襲いかかって来た。

とうとう私の精神的限界を超えてしまったのだ。


腑抜けのように立ち尽くす私に、女は「必ず返信してください」と言いながら、白い封筒を握らせた。


私は、どこをどのようにして帰って来たの分からないほど錯乱し、家に着くなり物置の隠れ家で昏睡に陥ってしまったのだ。


次の朝、着たままのズボンのポケットを探ると白い封筒が出てきて、やはり、昨日の出来事は、現実に起きたことなのだと思い知らされたのだった。


恐る恐る封筒を開けると、中には、「ありがとうございました」とだけ書いた便箋と共にコンビニで支払った女の分のお金が一円も違えずに入っていた。


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