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初夜で殺して来いと命じられましたが、好きになるなんて想定外です  作者: gacchi(がっち)


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24.ミリーナ王女との対面

「それで、王女はどうしたの?まさかまだこの屋敷にいるの?

 さすがにもう帰ったわよね?」


「それがいるのよねぇ」


「「はぁ?」」


驚いてまぬけな声を出してしまったけれど、イザークと声が重なる。

どうやらイザークにとっても予想外だったようだ。


「この屋敷ではお世話できないと断ったから、領内の宿に泊まっている。

 公爵はラディアと寝室にこもっているから会えないと言ったら、

 かなり怒り散らかしてたけど。

 護衛騎士に竜族がいたみたいで、説得されていたわ。

 番っている時は誰にも邪魔できません、って。

 はっきり言われてもまだ納得してない感じだったけどね。

 公爵が出てきたらすぐに呼ぶようにって」


「すぐに……?」


もう出て来てから半日以上過ぎているけれど。

今、王女の件を報告されているってことは、まだ呼んでないよね?

イザークの許可がなければ呼べないはずだし。

デニーを見るとまだ呼んでませんよ~と呑気な返事が返ってきた。


「どうします?明日にでも呼びますか?」


「そうだなぁ。俺が部屋にいた間に溜まってる仕事があるだろう。

 それが片付いてからでいいかな」


え?まだ呼ばないんだ。

驚いたのは私だけで、周りのみんなは平然としている。


「わかりました。では、屋敷の者たちには伝えておきます。

 誰かに聞かれたらイザーク様はまだ部屋から出てきてないと答えるようにと」


「ああ。頼んだ」


もう十日以上待たせているのに、呼ばないで仕事を優先するらしい。

私としてもミリーナに会いたくはないので止めるつもりはない。


イザークは私をひざの上に乗せたままダニーから書類を受け取った。

仕事の間は何もすることはなく、つまらなくなってイザークの胸に頬を寄せる。

そのままうとうとしていると、時折イザークが私の頭をなでてくれる。

そんな風に日中は終わり、また寝室へと戻る。



それから一週間、イザークはずっと私をひざの上に乗せたまま仕事をしていた。

もう離れても平気なのだけど、こうしているのが癖になったようだ。

溜まっていた仕事がだいたい片付いたのか、ようやくイザークはミリーナへを呼ぶことにした。


次の日の昼過ぎ、屋敷に来たミリーナは少し疲れた顔をしていた。

馬車での長旅に、慣れない宿での生活。

いつも丁寧に手入れをされていた栗色の髪がパサついているように見える。

狭い宿では女官たちに世話をさせるのも難しかったはずだ。

王女として生まれ育ったミリーナにとっては大変なことだっただろう。


応接室のソファに座っていたミリーナは、入ってきたイザークを見てうれしそうに微笑んだ。

だが、イザークの後ろに私がいるのに気がつくと、キッとにらみつけてくる。


にらまれるのはいつも通りだから怖くはないけれど、

私だと気がつかれるかどうか不安で、少しだけうつむいたままにする。

挨拶をするためなのか立ち上がったミリーナにイザークが声をかける。


「待たせたようだな。ミリーナ王女」


「ずっと待っていたのよ。イザーク様、お会いできてうれしいわ」


背の高いミリーナでも、イザークのほうがはるかに大きい。

少しだけ上目づかいのミリーナは頬を赤く染めている。

イザークのことを慕っているって本当だったんだ。

ミリーナとイザークがソファに座った後、私もイザークの隣に座る。

それが嫌だったのか、ミリーナの顔が引きつったのがわかった。


「それで、どのような用件でここに?」


「お父様の使いで来たの。まずはそれを伝えるわ。

 婚約をした報告をしに王宮まで来るように、だそうよ」


「婚約か。したのは結婚だが」


「国王であるお父様が認めなかったら結婚したことにはならないわ」


それはたしかにそうだろう。

ただし、エンフィア王国での結婚という意味だけど。

イザークも私もエンフィア国王に認めてもらいたいわけではない。

認めないというのなら、独立するだけの話だ。


だが、ここでミリーナに言っても意味はない。

独立するにしても一度は王宮に行ってこなければいけない。


「わかった。王宮まで行って結婚の報告をするとしよう」


あくまでも結婚だというイザークに、ミリーナは聞かなかったことにしたようだ。


「ええ、婚約の報告を。

 それと、私が来たのはイザーク様にお願いがあってきたの」


「お願い?」


「私はもう王宮へは帰らないわ。ここに置いてちょうだい。

 イザーク様の正妻として」


「「は?」」


にっこり笑って言うミリーナに、私とイザークの呆れたような声が重なった。


「だって、養女になったところで、平民の血は平民のままだわ。

 イザーク様の妻になんて許されないもの」


「俺はそんなこと気にしないが?」


「あら。お父様が許すわけないもの。

 そこの者は一生日陰者として生きるしかないのよ?」


蔑むような目で見られたが、そんなのは慣れている。

しっかりとミリーナを見つめ返して答える。


「私も気にしていないわ。

 イザークの番は私だけだもの」


「黙りなさいっ。私へ直接声をかけるなんて無礼ね!」


「無礼?私はエンフィア王国の貴族ではないもの。

 竜帝国の侯爵家にたいしてそんな口のきき方するなんて。

 王女こそ、竜帝国の帝王に無礼じゃないの?」


「っ!」


私に言い返されると思わなかったのか、ミリーナは真っ赤になる。

扇子でも飛んでくるかなと思ったが、ミリーナはイザークへと訴える。


「イザーク様!なんですの!この平民は!

 私が正妻になっても妾としているくらいなら許してあげようと思っていたのに!

 すぐにでも追いだして!」

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