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第103話 鑑定&吸収

 縄でぐるぐる巻きにされて椅子に縛り付けられている銀白色の長髪&ヒゲの男。

 背は高め、筋肉質、裸足、おまけに年齢不詳。

 ゆったりとした白いローブを着て、頭に草冠を乗せている。

 どう見ても不審者。

 でも、その正体は──頂上神ゼウス。


 そんな、リサのフライパンの一撃で気を失った頂上神を、貞操の危機から免れて平常心を取り戻したボクは思い出したかのように鑑定する。



 【鑑定眼(アプレイザル・アイズ)



 ボクの右目に、ボクにしか見えない赤い炎が宿る。



 名前:ゼウス

 種族:人間(顕現モード)

 職業:なし

 レベル:2089

 体力:50911

 魔力:30097

 職業特性:なし

 スキル:【勧善懲悪(プロモート・ゴッズ)



 うん、ゼウス確定。

 このステータスからは頂上神なのかはわからないけど、ゼウスさんであることは間違いないようだ。

 しかも、ご丁寧に「種族:人間(顕現モード)」って書いてある。

 でも。

 頂上神、ってわりには……弱くない?

 弱いと言っても、あくまで魔神サタンと比べての話なんだけど。


『そりゃお前、顕現してるからだろ』


 もはや当たり前のようにボクに話しかけてくるようになったサタン(核)。


(顕現してたら弱くなるの?)


『ああ、永久不変なんてもんは地上みたいな雑多なとこには存在しねぇ。形あるものは全て崩れる。ってことで、天界やオレ様の居たところ以外に出向いていったら、いくら頂上たる存在のオレたちでも命あるものになるってわけだ』


(ああ、サタンがなってたハエの姿も顕現ってこと? あれも弱くなってたもんね)


『ハ、ハエ……。あれでも一応オレ様に次ぐ実力の持ち主なんだがな……』


(っていうか、サタンってなんか性格変わった? 前はもっとムカつくやつだったと思ったんだけど)


『性格なんていう俗なものはオレ様には存在しない。ただ、必要であるからそうしてるだけだ。それに対してお前が性格が変わったと感じるのであれば、勝手にそう思っていればいい』


(へ~、まぁ、どうでもいいけど)


『どうでもいいのかよ……。結構重要な話だぞ、魔神様の()り方と世界に関する話なのに』


(世界なんてどうだっていいんだ。ボクは、ルゥとリサの幸せ。それに、ボクの手の届く範囲の約束を守ることで精一杯だからね)


『手の届く範囲、ねぇ。すでにお前の手は地平線まで届くほどに伸びてるんだがな……』


(ま、とりあえずゼウスだろうがサタンだろうが地上にいる間は倒せるってことだよね! ってことで……)


『おい、やめろ! お前の魔力は少ないんだ、スキルの無駄撃ちは……』



 【吸収眼アブソプション・アイズ



 ボクの左目に、ボクにしか見えない青い炎が宿……。



 ぷしゅう……。



 ……あれ?

 いつもみたいにスキルを奪い取れた確信がない。


『あ~、だからやめとけって言っただろ! 天界は一度鑑定士に攻め込まれてる。その際に奴らは生み出したんだ、スキル阻害の(すべ)を』


(スキル阻害……それって、閻魔が巻物で持ってたみたいな?)


『そうだな』


(そんなものがあるなら、どうしてサタンはそれを使わなかったの?)


『うぐ……そ、それは……』


(もしかして油断してた系?)


『だぁ~! うるさいうるさい! まさか人間ごときが世界の最深部までやってくるだなんて思わんだろうが! 黙れ、馬鹿、クソが!』


(はいはい、要するに油断してたわけだ)


『うっせ! バ~カ、バ~カ!』


(へぇ、そんな事言うならキミをボクの体内から出して、ハエ姿のままお日様の下をお散歩させてあげてもいいんだよ?)


『あ~! わかった、わかった! オレが悪かった! だから、お散歩だけは! な!? 勘弁してくれ……いや、勘弁してください!』


 なんだろう、何度も使った【狡猾(モア・カニング)】がボクに染み込みつつあるのかな。

 そんなちょっと意地悪な会話をしつつサタンを虐めていると。

 縛られた頂上神──ゼウスが目を覚ました。

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