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cheater チーター  作者: はにわ王子
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cheater チーター 2

この物語はフィクションです。登場する人物名、団体名などはたぶん架空の物となります。

中には違法な事をやってる場面もあるかもだけど、良い子の皆は決して真似しないでね!

僕との約束だ!

目が覚めて、青い地球が目に映る。

冷静に見る事ができたら、大陸の形や面積、海の形などからして地球では無いと分かるけれど、残念な事に大庭健斗には冷静さには縁が無かった。

布団から起きれば当たり前の景色、カーテンが閉められた薄暗がりの中の付けっぱなしのモニター、散乱したゴミ、蹴り飛ばす事に慣れた椅子やら叩きなれた机やら、有るべきはずの物が、有るべきはずの所に無い。

それどころか、3Dシアターに入って迫力の大画面でも見るかのような地球(仮)の画が有れば、驚きもするだろう。

 んだこれ?・・・?? なんだこれ・・・??

 おい! なんだこれ

 おいおいおいおいおいおいおいおい

 声が

 声が聞こえねえ!

 俺の、俺の声が!

 おいっ!ってか何だよ、これはよお!

 おい!

 なんだこれっつってんだろがああああああ!!!

 なんだこれなんだこれなんだこれなんだこれなんだこれなんだこれ

 おいおいおいおいおいおいおいおいおいいいいいいい

 まじかよっ

【ようこそMetal Gunnerの世界へ】

 あっ!!

 あっ?

 えっ?

【あなたの所属するワールドを決めてください】

 ・・・これ・・・は・・・

『木と精霊の国「Yuruguユルグ」  内燃機関の国「Engineエンジン」  亜未来型動力の国「NeoネオGearギア

 マジ・・・か?

 MGの中・・・嘘だろ? マジかよ 嘘嘘嘘嘘 えっ? 何だよこれ?

 おいっマジかよ!

 ってか何で3種類?アプリ入れただろ?ABアカシックバインドNightナイトMareメアは何処行った?


説明しよう。

MGは、最初3種類のワールドから選択するようになっている。しかし、エンドコンテンツであるABアカシックバインドのボスを倒すと、次の敵NightナイトMareメアが現れる。そして、不正アプリを使用した大庭健斗は、最初から5種類からワールドの選択が出来るようになっているはずなのだ。


 嘘だろ・・・マジかよ・・・

本来5種有るべき(いや本来こそ3種類だよ)ワールドが3種しか無かった事に愕然とする大庭健斗。

それはそうだろう、今まで使用していたチートキャラも、チートMGも、何もかもが使えない事が判明したのだ。

 おい、リセットだ! おい、リセットだ! おい、リセットだ!

 おいおいおいおいおいおいっ!

 おいっっつってんだよ! ああああああああああおおおおおおおおおっっっっ!!!!!

声の無い声で叫ぶけれど、無常にも何かが起きる気配は無い。


と言うか、書く時に勘違い起しそうになるから、声の無い声にも「カギカッコ」を付けようと思う。


イライラした時の癖で指の爪を噛もうとしても爪が無い、指が無い、腕が、足が、体が・・・無い。

有るのは意識だけ。

そんな状況下で

【あなたの所属するワールドを決めてください】 という声は聞こえる。

「・・・・・・」

リセットが出来ない

「・・・・・・」

体が無い

「・・・・・・」

有るのは意識と、【あなたの所属するワールドを決めてください】 という声、そして眼前に広がる地球(仮)だけ。

勘の良い人は判るだろうが。地球(仮)の正体は、MGの世界です

「はっ、ははっ・・・ははははははははっははははは・・・夢だ、夢だこれは夢だ、夢だ夢だ夢だ、夢なんだろ?おいっ!」

【あなたの所属するワールドを決めてください】

「っつ!うっせええええええ」

うっせえ うるさいのは自分の方だろと突っ込みを入れてくれる人は不在の中、茫然自失となった大庭健斗は、ただ項垂れて【あなたの所属するワールドを決めてください】を聞く。

ただ項垂れていた。だから気付かなかった。

カウントダウンが始まった事を


「5」・「4」・「3」・「2」・「1」


大庭健斗は知らなかった

追加パッチでアップデートされた Hell Mode では、選択肢が表れて指定時間が過ぎると、勝手に選択肢が選ばれてしまうという事を。

そして物語は幕を開ける。


                ―暗転―


茫然としている中、MGのオープニングムービーが始まる。

約5分間のムービーをスキップする事無く見続けている内に、ようやく自分の置かれた状況について考えられるようになった大庭健斗は、次の画面、

名前の変更画面に移った。

RPGに限った事では無いが、多くのゲームは、始まってすぐにキャラメイク(キャラクターを作る画面)に移る所だが、MGではAsiaのホームページに登録してあるアバターが、そのままMGのキャラクターになる。

しかし、プライバシー保護の観点から、Asiaに登録されている名前を、そのままゲーム内で使う事を良しとしないという事で、名前に関しては変更出来る仕様になっている。

複垢(複数のアカウント)でゲームをプレイしていた大庭健斗のアカウント、そのチートを封殺されたアバターは、超絶にダサかった。

とは言え、鏡が有る訳でも無い所では、自分を客観視できる訳も無く、ようやく自分に体が戻ったという安堵と、得も言われぬ違和感を感じながら

【あなたの名前を決めてください】というメッセージを聞く事になった。


【あなたの名前を決めてください】


「・・・・俺の名?」

アバターが生まれた事で、声も聞こえるようになった。

その声は、何故か自分の声と同じ声色であったのだが、ゲーム内で、見た事の無いアバターが自分と同じ声で喋っているという事に違和感を感じる余裕は無い。


【あなたの名前は オレノナ でよろしいですか?】


「ちょ、ちょい待ち」


【訂正されました】

【あなたの名前を決めてください】


5分間オープニングを見続けた所為と言うか、おかげと言うか、大庭健斗は今の状況を漠然とではあるが理解出来ている。

だからこそ、情報が圧倒的に不足している現在、何を成すのが正解かが分からない。

(おいおいおいおい、どうすりゃいいんだよ、誰か教えてくれよ、おいいいいいいっっ!)


【あなたの名前を決めてください】

【あなたの名前を決めてください】

【あなたの名前を決めてください】


「うっせえええ!だまってろおおおああああああ」


【名前には文字数制限が有ります】

【あなたの名前は うっせえええ でよろしいですか?】


暴れたいのに、何時も自分のストレスを受け止めてくれる椅子も、ベッドも、床も、ゴミ箱も無い。

冷静にならなければ、この先自分の名前は「うっせえええ」になってしまう。

頭の中が(どうすりゃいいんだ)で埋め尽くされる。


【あなたの名前は うっせえええ でよろしいですか?】


大庭健斗は知らなかった

追加パッチでアップデートされた Hell Mode では、選択肢が表れて指定時間が過ぎると、勝手に選択肢が選ばれてしまうという事を。

無常にもカウントダウンは始まってしまう。


「5」・「4」・「3」・「2」・「1」


「ちょい待てって!」


【訂正されました】

【あなたの名前を決めてください】


頭の中が(どうすりゃいいんだ)で埋め尽くされている。

今まで好き勝手に過ごした日々が、大庭健斗の頭にパニックを起こさせる。

(どうすりゃいいんだ どうすりゃいいんだ どうすりゃいいんだ どうすりゃいいんだ・・・・)


【あなたの名前を決めてください】


ここから30分程度似たようなやり取りがありますが、時間の無駄遣いなので割愛させて頂きます。

全てのやり取りを記したノーカット版をご覧になりたい方がいらっしゃいましたらご一報ください。

ご要望を多数頂きましたら執筆する予定も考慮したいと思います。


流石に30分も似たようなやり取りをしていると、何となくシステムを理解でき、これ以上のやり取りが無駄である事をようやく理解した。

(もういいや)

どんなにイラついても当たる物も無く、怒鳴り散らしても無機質な声しか返されない。そんなやり取りに疲れた大庭健斗。

これ以上疲れたく無いと言わんばかりにぶっきらぼうに答える。

「けんと」

【あなたの名前は ケント でよろしいですか?】

「ああ」


そして確認画面


【あなたの所属するワールドは 内燃機関の国「Engineエンジン」 です 】


【あなたのnameは ケント です】


よろしいですか?

 【YES】   【NO】


ここで【NO】を選べば、所属するワールドの変更も出来たのだけど、チートプレイばかりやっていたケントはそれが良いのか悪いのか分からない。

分からなくても時間は過ぎて、何度も言うけど、選択肢が表れて指定時間が過ぎると、勝手に選択肢が選ばれてしまうのがHell Mode

「5」・「4」・「3」・「2」・「1」


こうして「大庭健斗」改め「ケント」は、内燃機関の国「Engineエンジン」の大地に降り立ったのだ。

ご要望を多数頂きましたら執筆する予定も考慮したいと思います と有りますが

予定を考慮するってのは「考えるだけ」になると思って頂ければ幸いです

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