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異世界開拓記  作者: 久万聖
はじまり
6/21

一時帰宅。

 あまりに汚れたエルフ耳の幼女に、当初の予定を変更して一泊しただけで神代村に戻ることにする。


 帰って、風呂に入れてやりたくなったのだ。

 何度も言うけど、幼女趣味ロリコンじゃないぞ?


 前日の夕食と、一晩一緒にいたことが良かったのか、この幼女も少しは心を許してくれたようで、『サティ』という名前だと教えてくれた。


 サティを軽トラの助手席に乗せ、シートベルトを装着。

 うん、サティはいい子。大人しく装着されてる。


 ん?


 サティっていくつだ?


 チャイルドシート、必要かな?


 一応年齢を確認。


 サティは指を折って数え、


「んーと、十八歳。」


 見た目は幼女なんだけど・・・。


 お巡りさん(神代村だと駐在さんか)に見つからないことを祈りながら、軽トラのエンジンをかけると、さすがに初めての経験からか、サティはビクッと身体を小さく震わす。


 そんなサティの頭を撫でながら、


「大丈夫だよ。」


 と言うと、安心したのかホッとした表情を見せてくれる。


 すぐに戻ってくる予定なので、テントなどはそのままにして軽トラを走らせる。


 最初の方こそ、目をパチクリさせて驚いていたサティも、子どもらしく好奇心が強いようで、きゃっきゃっと騒いでる。


 そして、洞窟を抜けて現れた景色を見て、口を大きく開けて呆然とした表情かおをしている。


「木がいっぱい・・・」


「そうだね。木が珍しいのかい?」


「ううん。私の暮らしてたところが、たくさん木があるところだったの。」


 懐かしさみたいなものかと思いながら、引っかかりを覚える。


 暮らしていたところ?

 引越しでもしたのかと思いつつ、昨日のことを思い出す。


 たしか“人間たちは意地悪をする“と言っていた。

 人間と争って、いや人間に襲撃されて追い出された?


 そう考えるとしっくりくるんだよなあ。


 それをサティに聞くのは、やめた方がいいよな。

 変に触れて、情緒不安定になられても困るし。


 それよりも、サティのことを徳さんには知らせておいた方がいいかな。


 と思ってたら、カブに乗って疾走する徳さん発見。


 あの人、八〇超えてるんだよな。

 矍鑠かくしゃくとした人って、きっと徳さんみたいな人のことに違いない。


 そこでクラクションを鳴らすと、徳さんもこちらに気付いて向かってくる。


 だけど、クラクションの音でサティは固まってしまい、涙目でこちらを見てくる。


「ごめん、びっくりさせちゃったね。」


 そう言って頭を撫でると、ホッとしたようだ。


「ほう、迷子でも見つけたのか?」


 徳さんがサティを見て言う。


「あれ?」


「ん?どうしたんじゃ?」


「いや、なんでもない。」


 なんだろう?

 徳さんになにか違和感を感じたんだけど。


 なんか、変な雰囲気というかなんというか・・・。


「まあ、迷子なんだけどさ、汚れてるから風呂に入れてやろうと思って戻ってきたんだ。

 風呂に入れて、一息ついたら一緒に親を探しに行くよ。」


「ほう、そうか。カナ坊もいいことをするな。」


 揶揄うような徳さんの言葉。


「その子の着替えはあるのか?」


「それなら、妹のがあるよ。」


 家族が死んでから、その遺品として服などは残してある。

 それが今になって役に立つのだから、なんか世の中って面白いと思う。


「そうか。困ったことがあったら、いつでも声をかけるんじゃぞ。」


「わかったよ。」


 そう答え、家まで軽トラを走らせた。






 ☆ ☆ ☆






 汚れている服を脱がしてやり、お風呂へGO!!


 サティは見慣れないこの世界の物に興味深々のようだが、とにかくまずはお風呂。


 頭と身体を洗ってやるのだけど、まあこれが凄いことに。


 風呂に入る習慣が無いんだろうなあ。


 髪は三回目でやっと泡立ってくれ、身体は垢が凄い凄い。


 骨折して、ギブスを装着された時のことを思い出したくらい。

 ギブスが外れた後、垢がぼろぼろ落ちたようなそんな感じ。


 でも、素直に従ってくれるから、手はかからないね。


 黄色いアヒルの玩具おもちゃがよかったのかな?

 湯船に浮かべて遊んでいる。


 だけど、はしゃぎすぎたのか、風呂をあがってからすぐ夢の中の住人になってしまった。


 サティが起きてから、あっちの世界に行くことにしよう。


 だから、サティが起きてすぐに行けるように準備を進めよう。


 サティの分の食料と、そしてもしもの時の準備を。


 そして、サティが起きたのはお昼過ぎだった。

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