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異世界開拓記  作者: 久万聖
はじまり
4/21

別世界

短めです

 お社の改築が終わると、『改築祝いだ!!』とのことで宴会が始まる。


 いや、これは皆が酒飲みたいからだよね?ね?


 尻込みしたくなる宴会だが、この会場は俺の家だー!!


「なにをしとる、かな坊。

 こっちにきて飲まんか。」


 田舎のお年寄りのいう“こっちにきて飲め”とは、“酔いつぶしてやるからさっさとこい“という意味だと、移住して三年で身に染みて理解している。

 そして、決して逃げることができないことも。


 いや、逃げると言っても、ここが自分の家なんだけど。


 俺を逃さぬように、いつの間にか包囲されている。


 自分が潰されるのに、たいした時間は必要なかった。






 ☆ ☆ ☆






 目が覚めたのは、夜中の二時頃。


 強い揺れを感じてのことだった。


「じ、地震!?」


 慌てて飛び起きる。


 慌てて飛び起きても、ここで慌てた行動をしないのは、地震大国日本で育った日本人の矜恃。


 この家だって震度七に耐えられるよう、耐震補強工事もバッチリしてある。


 揺れが治ったらまずは余震対策として、ガスの元栓を締める。


 そして、愛車であるオフロードバイクに乗って、被害がないかを確認しに出発!(※アルコールが残っている状況での運転をしてはいけません!!)


 一通り見て回ったけど、目立つ被害は無し!


「そういえば・・・」


 ふと、お社の様子が気になってくる。


 建てたばかりだし、そう簡単に壊れるとは思わないけど、確認はしておこう。


 そう考えて、山の中腹にあるお社を見に行く。


 昼間なら、ここから神代村の全景が一望できて、けっこうな絶景なんだけど、夜中ではそれは望めない。


 田舎の、しかも夜中の真っ暗闇の中を、バイクのライトとヘルメットにつけたライトの灯りを頼りにお社に向かう。


 お社に着くと、バイクのギアをニュートラルにしてスタンドを立てる。


 持ってきた懐中電灯を点けて、お社の点検をする。


「点検良し!」


 なんでわざわざ声を出すかって?


 暗いだけでなく、静かすぎて怖いんだよ、真夜中の山の中って。

 それを紛らわすために声を出してんの。

 言わせんなよ、恥ずかしい!


 お社の裏手に回って、周囲の様子も確認する。


 このお社の裏手は崖になってるから、崩れたりしたら大変だからね。


「?!」


 崖の前にほこらがあるのは何度も見てるから知ってるけど、洞窟なんてあったっけ?


 懐中電灯で中を照らしてみるけど、かなり深い。


 それに高さも幅もかなりある。


 こんなのがあったら、とっくに気づいているはず、なんだけどなあ?


 地震で崩れて洞窟が姿を現した?


 いや違う。


 崩れたならそこにあるはずの崩落した岩石が見当たらない。


 暗い夜中では何もわからないので、ここは一旦家に帰り、昼に出直すことにしよう。


 そう思い、バイクに跨って帰宅した。






 ☆ ☆ ☆






 正午過ぎ。


 午前中の村内見回りついでに、祠についても聞いてみたけど期待したほどのことは聞けなかった。


 祠の存在自体を知らない人もいたし、知っていても由来を知らなかった。


 一番有力なのは、徳さんが言った、


「道祖神様じゃないか。」


 というもの。


 ちなみに道祖神様というのは、村に疫病をはじめとした不幸が入り込まないように見張ってくれてる神様のことらしい。


 まあ、そんなことを聞いてから再び祠の裏にできた洞窟までやって来た。


 改めて見ると、やはり広い。


 多分、2トントラックが入れてしまうくらい、高さも幅もある。


 入るか入らぬべきか。


 逡巡したのはわずか数分。


 よし、入ろう!


 持って来た装備は懐中電灯と、お茶の入った水筒だけ。


 行って戻るだけなら、それで十分だろうと思う。


 さて、オフロードバイクに跨って、レッツゴー!!


 スピードは三十キロ程度、原付並だね。


 少し入って不思議に感じたのは、地面がまるで整地されたようになっていること。


 凸凹がなく、実に走りやすい。

 でも、慣れない道なので安全運転。


 そうやって十五分くらい走っただろうか?


 洞窟の先が明るくなってきた。


 出口だと思い、アクセルを軽く開けてスピードアップする。


 うん、眩しい光に一旦停車して目を慣らす。


 そして、慣れた目の前に広がる景色を見て、思わず絶句した。


 どこまでも広がる青い空と、同じくどこまでも広がる大地。


 大地の向こうには山が見え、反対側に海が見える。


 青々とした森が広がる大地も見え、その別世界のような光景に、絶句して立ち尽くしていた。


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