森の奥で。2
低く響くような音はまさかのお腹の虫だった。
これでもかなり怖かったんだからね!?
女性は俺の方を向いて言った。
「なにか食料を分けて貰えませんか…?お礼は必ずいたします!」
まぁ、フランの実ならたくさんある。それに無くなったらまた取ってくればいい。
俺はマジックポーチから切り分け済みのフランの実をひとつ取り出した。
収穫したと同時に切り分けておいたのだ。
マジックポーチの中では時間が止まるため、皮をむいていても鮮度が保てる。
「どうz…」
言い終わる前に女性は俺の手の上にあるフランの実にかぶりついた。
それはもう俺の手を器がわりにがっしりと掴んで、犬のように顔を突っ込んで食べる。
「おかわりっ!」
超絶笑顔で言われた。
俺は勢いに押されてマジックポーチからもうひとつフランの実を取り出して渡そうとするが、またもや俺の手に乗ったままの果実にかぶりつく。
俺は戸惑ってなにも考えていなかった。
4つめの果実を食べたところでようやく止まった。
「ごちそうさまでした!」
そして女性はハッとした表情になり、顔をやや赤く染めて数秒間うつむいていた。
俺としてはあの食事スタイルが平常じゃなかったのは安心した。
「見苦しいところをお見せしました…」
うつむいているが生憎俺にはどう声をかけていいか分からない。
女性はクールな表情になり言った。
「ありがとうございました。あなたと出会えなければ私は今頃魔物の食料になっていたでしょう。」
「え、ええ。どういたしまして…」
女性は少し疲労が見えるが健康なようだ。
ちなみに俺は未だに困惑している。
「お礼がしたいのでもし良ければ我が家にきて貰えませんか?あまり距離はないのですぐに着くと思います。」
家に行けばこの女性と話すチャンスがたくさんあるだろう。
そうすれば情報が手にはいるし、運が良ければ寝床を確保できる。
断る理由も無いので申し出を受け入れると伝えると女性は近づいてきて合掌の形をして言った。
「転移・我が家!」
女性の周囲一メートルほどに青白く輝く光の輪が現れ、
数秒後には女性と共に森の中に建つ少し大きめの小屋の前にたっていた。
魔法……!?
この世界では当たり前でありふれたものだが、前世でも今でも俺は決して使えない不思議な力。




