独白1
書きたい。でも書けない。何故って、なぜ?
そんなこと何度も自問自答を繰り返した。
今思えば分かり切ったことだ。元から破綻した感情、思考回路、人格、それらしか持たない僕に人の感情を、人間関係の機微を、理解できているはずもなく、どれだけ小説などで人間関係や感情だとかを知ろうとしても、集めたその手の情報は断片的でしかない。
自分が真面目に考えすぎてるが故、なんてことは自分が一番分かっていることだ。
本当は苦しい。書けないという事実を認めるのが。でも紛れもない事実である。
それでも諦めきれないのは何故なのか。
彼女の小説を書く姿に憧れたから。先輩達の小説に惚れたから。後輩たちの描く世界に背中を押されたから。
彼ら彼女らの描く世界があったから今の僕がいる。それを否定したくはないし、この夢は今諦めるべきではないと思うのだ。
だから自分に文才がないことを知っていようと懲りずに自分の中で構築した物語を描こうと、必死でもがいている。
これはそんな筆者の物語である。
話は変わるが、私は今地方のとある大学に通っている身だ。
とはいえ、授業を受けるために通っているのみで、他での友人たちとの絡みは余りない。
元来の自分は割とノリがいい方であると自覚している。ただ、人見知りがかなり激しいだけの話である。慣れるまで平均半年から一年かかる。致命的だ。
それも原因となったのか、この二年の冬、サークルにも入らず、友人も少ない。
こうして小説の構想を温める時間だけはたっぷりと有るが、そのたびによく独り言を口走ってしまい、とても恥ずかしい。
そんな中、中学の同窓会の知らせがあった。勿論小学校、高校の同窓会も有る。だが、小学校の友人たちは中学でも一緒だった友人たちで今でもたまに会うことがある。高校では自業自得な面が強すぎるが余り打ち解けられなかった。
中学の時は周りに変人が多く、とても愉快だった。僕は自他共に認める変人だった。とても輝いていた自信がある。
けれど卒業した後、同級生だった彼らがどんな風になっているのか、一部交流のある友人たちを除いて僕は知らない。
この自他共に認める変人だった自分が、自分では変人だと言えるが他人からは普通の人と思われるようになったように、色々と変わった人もいるだろうし、変わらないのもいるだろう。
中でも仲の良かった数人がどうなっているのか気になる。小説を書いていた彼女は、アホとしか言いようのなかった彼は、かなり男勝りだった彼女は、僕が文学の道に引きずり込んだ彼は、いつも憧れていた彼女は、親友だった彼は、どうしているだろうか。
そして………酷いことを言ってしまった彼女は、大好きだった彼女は、傷つけてしまった彼女は、今どうしているのか。一時期は何でこんな奴のこと好きになったのか、とか思ったが、やはり好きだったのは紛れもない事実だ。面と向かって謝りたい。
知るのが怖い。けれども知らなければ前に進めない。
一歩進んだら何か違うものが見えるかもしれない。彼女に会いたい。もしかしたら彼女は来ないかもしれない。それもとても恐い。前に進めないかもしれない。
それでも思う。
だからこそ思う。
ああ、今からその日が楽しみである。と
なお、この文章は前に進めなくなった筆者の思考や回想、また身の回りであったことなどで構成している。
話に何の脈絡もないし、やけに後ろ向きだったり前向きだったりする。
それでも前に進みたいが故に書く日記のような随筆のようなものである。