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てん・とう・むし
段差に気付かず転んだ
誰にも気付かれなかった
傷口からは赤が滲んだ
何でもないねと言い聞かせた
傷口に砂利が入ってた
ちょっとしか表情に出さなかった
いいの いいの
構わないよ
寄り添ったところで重さもない
与えられない弱虫だから
重くなったらきっと皆は
退けって突き飛ばして来るよ
分かってるから大人しく
小さく羽を休ませて
ごめんなさい
欲張りには
ならない予定だった
ここにいるよと叫んだ
それでも未だに気付かれない
構わないよと呟いた
不思議と声が震えてた
転倒しても気付かれなかった虫風情が
点灯したところで無視を回避できるわけない
(気付いて欲しいのに見られたくない)