死んだのか?
っ、てて。……痛みがある。という事は俺は死ねなかったのか。
取り敢えず、目を覚まそう。そう思い、瞼を開けた。眼前にはどこまでも暗い、黒が広がっている。
おかしいな。俺はいつも部屋を明るくして寝ている筈なのに。
考えられる事は二つだ。
一つ目は、俺が寝ている間に誰かが部屋に侵入してきて部屋の電気を点けた可能性。
二つ目が、ここが俺の部屋では無い可能性。
前者の可能性は薄いだろう。誰が好き好んでこんな汚く、金目の物が無い部屋に入るのだろうか。
という事は、消去法でここは俺の部屋では無い事になる。大方、病院だろう。同居してる親が気づいたのかもしれない。
たく、余計な事しやがって……。だがまぁ親は必死に俺を病院に運んだ筈だ。こんなどうしようもない俺を心配してくれてありがとうと礼を言わなければならない。そして、先立つ不幸をお許し下さい。
あぁ、勿論今日こそは死ぬ予定だ。だって、こんな世界いたくないし。
そういや、今気づいたけど先生来るの遅くないか?俺、目覚めたんだよ。
ちょっと起き上がって、周りの様子だけでも見てみるか。よっこらせっと。
……え、嘘だろおい。
周りを見てみると、てっきりよく見る病院風景が広がっていると思ったらそんな事は無かった。
黒だ。全面真っ黒。俺が寝ていた場所もベッドではなく、ただの黒い床。
驚いた俺は首を振り回す。どこを見ても黒、黒、黒。黒過ぎて、俺の目が見えている事さえ忘れてしまいそうになる。
駄目だ。こんなところにいたら発狂する。光は、光はどこだ。
俺は必死に光を探した。そして、ぼんやりとだが、前方に光のようなものが見えた気がした。悩んでても埒があかない。取り敢えず、進もう。