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第一章 その3 解体決着

「……ようやく捕まえたぜ。ちょこまか逃げやがって……」

 

 うめくジャクソンの伸ばした右腕の先、か細い身体が壁に磔にされていた。

 柔らかな腹腔に食い込む万力のような指の圧に、少女がうめき声をあげる。


「ひひっ。覚悟はいいかぁ、お嬢ちゃん?」


 獣じみて舌なめずりをするジャクソンの体表に傷らしきものはひとつもない。その黒光りする肉体は幾度もの斬撃を無効にして、少女に無力感を味あわせたはずであった。

 ──だが、いじましい抵抗を繰り返した少女の不遜は変わらない。

 醒めたような目つきでジャクソンを見下ろし、


「本当に、まるっきり、女の子の扱いを知らないのですね。ああ、これじゃあ、強姦なんて行動に走ったのも道理です。お可愛そうに。まあその蛇とゴリラを混ぜ合わせたようなご面相では、婦人に相手になどされないでしょうから、致し方ないのかもしれませんが」


 くすくすと嘲笑うのだ。

 ぶちりと、ジャクソンの中で何かが切れた。


「──らぁ!」

 鉄塊が如き左拳が、少女の薄く柔らかな腹にめりこんだ。

「が、げぶっ!」

 舌を吐き、前のめりになって少女は呻く。びくりと跳ね上がった両脚が痙攣する。


「人を舐めるのも大概にしやがれ、このクソガキが──」


 怒りのままジャクソンは埋め込んだ拳をなおさら深く押し込んだ。

 めち……ぐち、みちぃり……。

「かっは……、は、ふ、ふふっ……」

 臓物を圧され、力のない呻きを垂れ流しながら──だが少女の冷めた嘲笑は掻き消せない。


「てめっ……!」


 もう一撃を見舞ってやろうと、左腕を振りかぶって。

 その時ようやく彼は、機械の唸る音と足音とに気がついた。


「こぉらー。待ぁてぇー」


 それにこの、なんだか気の抜ける声。

(……レベッカ、っつったか)

 この時まで彼は、パートナーとして「設定」されていたレベッカという女の子のことを失念していたのだ。まあ、マスクにチェーンソーといういかれたコスプレ女の事を覚えていたなどなかっただけなのかもしれないが。

 騒音はまっすぐにこちらへ向かってくる。

 ひきつった顔の、赤い髪の男とそれを追うホッケーマスク。


「こんにょぉ~っ!」


 ホッケーマスクが振り回すチェーンソーを、赤い髪の男が避ける。いきおい部屋に飛び込んでくるコスプレ女がジャクソンを一瞥して、あらためて赤髪に向き直った。


「よぉ。盛り上がってるじゃねえか」

 目つきの悪い赤髪の男は、磔の少女を見やり皮肉げな笑みを浮かべるのだった。


「ああ、お兄様……」


 少女の頬が淡い桃色に彩られる。男へ向ける視線は情熱的で、いま、ジャクソンに、生殺与奪の権利を握られていることなど忘我の彼方という様子であった。


「……お兄様? てめえがこのクソガキの「家族」か」

「ん。あー。まあな」


 ジャクソンが訊くのに、とぼけたような声で返す「お兄様」。


「よぉ。サオリ。遊んで貰えたか?」

「それが、お兄様。この男荒々しいばかりでまるで楽しめないのです。ああ、やはり私には、お兄様しかいません。お兄様でないと、全然感じないのです」


 桜色の唇から漏れる声もまた、熱を孕んでいる。湿った声は甘く熟した果実のようだ。

 つまるところ、自分など歯牙にもかけられていないと――そうジャクソンは認識して、少女を支える右腕に力を籠める。

 めきめきと少女の腹が軋んで。ニ、三本、肋骨に罅の入ったような感触があった。


「あげぼっ……」


 さすがに、サオリと呼ばれた少女の顔も痛苦に歪んだ。


「おいおい、そのへんにしてやれよ。可哀想だろ、女の子に」

 そんな拷問を受けているというのに赤髪の物言いはとぼけたものだ。

「うふふ。ほらー。あなたの遊び相手はこっちでしょー」

 レベッカはレベッカでぶらぶらとチェーンソーを揺らしながら男を誘う。と。


「……信じられない。なんですか、その下品なスカートは」


 額に汗を浮かせたサオリが――レベッカに、不意にそんなことを言っていた。


「んー? 可愛いっしょ?」

 レベッカが膝上二十センチのミニスカートを摘み上げてみせる。


「どこが。そんなので男の目を引こうなんて、恥ずかしくないのですか? 誇り高いお兄様なら、そんな痴態には微塵も揺るがないでしょうが……」

 ショーツ一枚で胸元はあられもなく晒したままのサオリが憤慨している。


「えー。でもこのお兄ちゃん、制服大好きっ子だよ?」

 ねー、と同意を求めるレベッカに、ねーと頷く赤髪の男。サオリが、愕然とする。


「そ、それは本当なのですかっ!? お兄様!?」

「そりゃおまえ、制服女子が嫌いな男なんて、この世にはいねえよ」

 当たり前の事を言わせるな――と、そんな態度の「お兄様」に、


「女の子だって制服が大好きですー」

 レベッカが、それも当然と頷くのだ。


「――ああもう、お前らっ! なにをわけわかんねえことくっちゃべってやがるっ!」


 なんだかもうよくわからない空気に、ジャクソンが切れた。

 もういい、全員ぶち殺してやる――血走った目で周囲を睨みつける。

 可憐な少女を握りつぶして圧殺しようと、腕の筋肉が盛り上がる。


「ん? ああ。ま、おしゃべりはこれくらいにしとこうか」

 焔のような憤怒を前にしてだが男は飄々とするだけだ。

「そろそろこの騒ぎもお仕舞いだ。番組も、佳境だぜ?」

 そして彼は、部屋の隅に積んであったセメント袋を、思い切り蹴飛ばした。


「なっ……」


 狭苦しい倉庫の中に、粉塵が舞い上がる。

「おりゃおりゃおりゃっ」

 さらにユグドは破れた袋をかかえ上げ、振り回し始めたのだ。狭苦しい部屋の中である。室内は前が見えないくらいの灰色の粉塵で埋め尽くされて、さらに彼はまたひとつ、セメント袋を室内にぶちまけて――粒子の細かなセメントの粉が部屋の隅々にまで充満した。

 その粉塵はジャクソンとレベッカの呼吸器官へと侵入して。


「ん、ぐほっ! げ、げほげほっ!」


 喉を灼くような刺激をにたまらず二人は咳き込んだ。

 ──セメント粉とは、アルカリ性である。

 その粉塵は人の粘膜に触れると焼け付くような痛みを与えるのだ。

 と。痛みに悶えていたジャクソンの腕から――するり、と何かが逃げた。


「げえ、んごほっ! く、ファックっ……!」


 毒づく。サオリという少女を逃がしてしまった。

 涙の滲む目で追うも室内は灰色の粉に覆われて、まともに視界も効きはしない。

 ──まあいい。見えた相手はなんでも、とにかく叩き潰しゃあいい。

 すぐ近くでなにかが動く気配。それに向かって腕を振るった。


「ぎゃんっ!」


 丸太のような腕に吹き飛ばされるそれは女の悲鳴をあげた。サオリか、レベッカか。というかさっきまで近くにいたのだからレベッカだろうか。まあ、どちらでもいい。

 次は──と、目線を周囲へ向けて。

 両足首に、冷たいなにかが駆け抜けた。

 すう、と、肉を断つ感触。すとんと、尻餅をつく。


「……あ? っ、な、んだっ……!」


 立とうとしても立てない。足首から先が無くなったみたいにふんばりが効かない。

 みたい? ――否である。

 無いのだ。


「っ、ぎ、あぎぃいいいっ!?」


 まるで股間の時のように。激痛は、彼が足首の欠損を認識して初めて襲いかかってきた。

 どくどくと溢れる鮮血が床の上に拡がっていく。その血がたどり着く先。

 ジャクソンの足首から下は、揃いの靴のようにして床の上に置き去られていた。


「な、んでっ……斬れ、るっ……」


 粉塵がゆっくりと収まっていく。目の前には、肉切り包丁を手にしたサオリ──その刀身はジャクソン自身の血にまみれていた。

 応えたのは、男の声だ。


「てめえの筋肉、皮膚の硬化だって、生体である以上酸素を取り込んで力を発揮していることには変わりねえからな。呼吸ができなけりゃ、緩むさ。当たり前だろ?」

「……ああ、そう、か。だなぁっ……」


 ジャクソンは、床に転がっていた鉄パイプを手にとる。

「それで勝ったつもりか、ああ?」

 

 その鉄パイプを放り投げた。

 狙いは窓ガラス。狙いあまたずガラスは割れて、すると空間に舞っていた大量の粉塵が、そちらに向かい流れていくのだ。

 立ちこめていた灰色の雲が晴れていく。

 

 新鮮な空気が流入して、ジャクソンの身体にまた力が戻る。


「お前らが、俺を傷つけられないのは変わりねえんだ。だったら、どうするよ?」


 それもまた事実。

 彼を害するには、その装甲を引き裂けるだけの攻撃力が必要だろう。

 ──そう。


「……よぉくも、やってくれたわねー」

 頭から血を流し、ふらりと立つレベッカの持つチェーンソーのような。


「……あん? おい、ちょっと待て、俺は、なかま──」


 その弁解を掻き消すような、モップゲラ君の唸り声は、ジャクソンの豪腕に叩かれた恨みを晴らさんとするかのようだ。

 震える足取りで、一歩一歩近づいていくレベッカに、ジャクソンは顔を引きつらせる。


「待て、待てっ! は、はなしをっ……!」


 振り上げられるチェーンソーに向けて両腕を突きだした。

 肉切包丁をまるで通さなかった、鋼のような腕が──がりがりと、容易く削られ抉られる。

「いぎゃぁぁああぁあああぁああぁああっ!」

 



「……うーわ。いったそー」


 彼に犯された被害者達にしてみればそれでも軽すぎるくらいだろうが、身体中を裂かれてのたうち回るジャクソンの姿はさすがのユグドも同情を禁じ得ない。

 四肢を断たれているのに気絶も出来ないのは、筋肉増強手術の弊害だろう。斬られたそばから筋肉が、血の吹き出す血管を締め付けて止血する。普段なら命を救うだろうその反射も、今となっては地獄のような痛苦を長引かせるばかりだ。


「おーなかおなかー。おなかーをひらーこうーえいっ」

「あぎいいいっ! ぐぎぃぃいぃっ!」


 歌いながらレベッカが、鎖骨の間に刃を入れてぎゃりぎゃりと真下に引き裂く。

 黒ずんだ皮膚が抉れ、脂肪層を裂いて、真っ赤な肉が顔を出す。生臭い血がこんこんと溢れて、巨大な血溜まりを描き出す。

 レベッカは実に楽しげだ。こうやって、十人以上の犠牲者を殺傷してきたのだろう。

 ──本来の計画では、ユグドがチェーンソーを奪い取って、ジャクソンに対抗する手はずだったのだが。まあ、これはこれでもよし、である。


「あっ……がっ……かっ……」


 ぴく、ぴくとジャクソンが痙攣を始める。周囲に内臓を散りばめたその有様は解剖された蛙のようだ。やがてジャクソンの目から光が消えて、全身が虚脱した。


「あ。あー、あー。終わっちゃった」

 つまらなそうに、レベッカが嘆息する。


「満喫したかい?」

「んー? もうちょっと、かな。やっぱりあれだねー。しばらくしてなかったから、一回ぐらいじゃ満足できないねー」

「ふうん。んで? 二対一だが、どうする? やるのか?」

 訊く。レベッカは、うーんと思案するように首を傾けて、

「まあ、やらないとねー。「番組」も終わらないしねー」

 気軽な感じでそう言って、チェーンソーを構えた。


「──お兄様」

「ああ。お前は休んでろ。腹、痛えんだろ?」


 少女の露出した腹腔は痛々しく赤らんでいる。内臓を痛めているだろうし、呼吸の具合から察するに肋骨も何本か痛めているようだ。顔も青い。気丈を装ってはいるが、まともには動けまい。


「あ、ああああっ!」

 と。サオリがなにやら感極まったように両手の平を胸の前で握った。


「お兄様、ああお兄様っ! こんな、豚みたいに役立たずの私を心配してくれるなんてっ……! 私、その言葉だけで天上の彼方まで到達できますぅっ!」


 ふるふると黒髪を揺らす美少女に、ユグドはうんざりとした顔を向ける。


「……わかった、わかったから。そういうのは、カメラの回って無いときに、な」


 キラキラと涙すらこぼすサオリから視線を切って、レベッカと相対する。

 吠え猛るモップゲラ君は、ジャクソンの血で艶めかしく輝いていた。


「うふ。うふふー。さあ、次はあなただよぉ。あなたを解体したかったのよー。あなたの内臓って、どんな色をしてるんだろうねー」


 るんるんとからんらんとか、そんな効果音が聞こえてきそうなレベッカである。


「じゃあ、いくよー」


 コケティッシュな制服を翻して、こちらに駆け寄ろうとする無垢な少女。

 ──その足元に。こっそりと引き寄せていた、ジャクソンの大腿を蹴りつけた。


「え、ひえっ!」


 まともにそれに足を引っかけてレベッカがつんのめる。やはりあのマスク、下方の視界はあまりよろしくないらしい。

 踏み込んで、右足を地面に叩き込む。右の爪先を軸に身体を回転させ、抱え上げた左足を振り回し、少女の頭蓋に叩き込んだ。


「がっ!」


 したたかな衝撃が、左足の甲から全身に駆け抜けた。レベッカの膝が落ちる。ミニスカートをふわりと浮かせて、ぺたんと──床に座り込んだ。

(とどめっ)

 追撃をかけようと、踏み込む。

 掌底を、こめかみに。それでカタがつく。

 ──ハイキックの衝撃に、レベッカのホッケーマスクが、外れて落ちた。

「――――あ?」

 予想外に可愛らしい、その面相を目の当たりにして、ユグドの攻手が動揺に鈍った。

 彼女の顔は、どこか。


 ──に、似ていた。


 輪郭が? 目? 鼻? 面影? 

 解らない──けれど。

 だが、それでも全身が痺れたようになって。座ったままのレベッカが、チェーンソーをこちらに突きだしてくるのもよく見えているのに、避ける機も逸してしまって。

(ああ、ヤベェ)

 そう思うのに湧き上がるのは、焦燥よりも諦観。

 座った状態で、腕の力だけで突き出すチェーンソーなんて、避けるのは難しくない。

 それなのに、身体に何かがまとわりついて、動いてくれないのだ。

 

 肉を裂く鈍い音。鮮血が、床にしぶく。


「あ……げ、ぼ……」


 ──レベッカの首筋に。深く、肉切包丁が突き立っていた。

 ごとりと、床の上にチェーンソーが落ちる。


「げ……ひゅぅ──」


 喉肉の三分の一までを裂かれて、少女の唇から血の混じった泡が溢れる。

 ひゅうひゅうと漏れる空気の音は、裂かれた肉の狭間から。いつのまにかレベッカの背後に忍びよって、包丁を突き立てたサオリの瞳は、無感動に凍りついている。


「かっ……は、ひ、ひひっ……」

 ぶくぶくと、血泡を吐き出しながらレベッカが笑う。

「ねえ……ぉご、あなた……そんな、いっぱい……重くないの……?」


 レベッカの身体が痙攣をはじめた。すでにその魂は地獄に引きずられているというのに──少女の顔には、ただ無垢な疑問だけがあった。


「だれ……より、殺してる……くせに。みぃんな……覚えてるんでしょ。げほ」

 やがてその、あどけなさを残す顔がなんだか嬉しそうに微笑んで。

「――ああ。そっか……私も、覚えて、もらえるんだぁ……あは、あはは……」


「お兄様に、色目を使わないで頂けますか」


 鋭い言の葉が、事切れる寸前のレベッカに突き刺さる。

 サオリは包丁を引き抜くと、もう一度、レベッカの首筋に強く叩き込んだ。

 切っ先が脊柱を貫く。がくりとレベッカの身体が震える。

 背骨を、脊柱を喉官をまとめて断絶せしめ、振り抜かれるサオリの右手。

 ごろん、と、レベッカの頭蓋が落ちて、身体が床へ横倒しになる。

 刹那、吹き出す鮮血は間欠泉のように、床の上に赤い扇を広げるのだった。

 ──生首は、ユグドの足下に転がって、止まっていた。

 その目が。──に似た目が、ユグドを見ている。

 吐き気がこみ上げてきて、それを慌てて呑み込んだ。


「大丈夫ですか、お兄様っ」


 サオリが駆け寄ってきた。駆け寄ったついでに生首を蹴飛ばす。ころんころんと転がる生首に彼女は視線すら向けない。

 瞳をうるませて、サオリは心底からユグドを心配していた。

 ぺたぺたと身体を触って、傷がないかと確認してくる。


「……ああ。問題ない。よくやったな、サオリ」


 と、サオリの頭を撫でてやると、ぱあっと、花の咲くような笑みを浮かべるのだ。


「は、はいっ。お兄様っ! ありがとうございますっ! えへ、えへへっ」


 赤らむ頬に手の平を添えて、少女は小さく悶えていた。

 ――その体を、柔らかく抱きしめてあげる。


「あぐふんっ」

 奇妙な呻きがサオリから噴出した。

「お、おおおお、お兄様っ、お兄様ぁあっ! はうう、はうううっ」

 少女はひどく興奮した様子で胸板に顔を擦りつけてくる。その頭を、撫でてあげながら、ユグドはうっすらと口の端を吊り上げた。


 ──ああ。まったくお前は。役に立つ包丁だよ。


 その時、きぃんと──工場の中に声が響く。

『バトル終了ですっ! 勝者、「ユグドと愉快な仲間たち」!』

『人体改造を施したジャクソンと、大量殺戮者のレベッカ。狂気の家族「モップゲラ」はしかし、「ユグドと愉快な仲間たち」の前に敗れ去りました。

 前評判では特に、ジャクソンの戦闘能力に注目されて掛け率もそちらのが高かったのですが、蓋を開けてみれば、ユグドのチーム、快勝です。

 なおアージ社への利益の一部は、世界の恵まれない子供達に使われております。

 さて、今回のバトルもそろそろ終幕。

 また次回、血しぶく地獄のエンターテイメント。

 ファミリーバトル! でお会いしましょう。

 それではみなさま、シーユーアゲイン!』



 ──やれやれ。

 嘆息する。工場の中に、スピーカーと一緒に設置されていた無数のカメラ。そこからの視線も途切れた気がして、彼はようやっと肩の力を抜いた。


「まあなんとか勝てたなぁ……っておい、サオリ。なにしてやがる」


 いそいそとレベッカの衣服を脱がせているように見えるサオリに半眼を向ける。


「いえ、そのぉ……お兄様が、こういう服大好きだというので」


 恥ずかしそうにしながら、首のないレベッカの身体から容赦なく制服を脱がせていく。

 哀れなレベッカである。


「いや、まあ……いいけどな」


 特に止める理由もないので放置しておくことにした。

 ……今回のバトルもどうにか生き延びることができた。

 さて。

 次はいったいどうなることだろうかねぇ。

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