第98話 そんなんじゃないの
今回は、華穂視点の話です。
その日の放課後。
私は、瑞希と由衣に残ってもらい、相談することにする。
ゆうくんには、二人に相談するからと言って、先に帰ってもらう。
ただし、その相談内容に付いては言わなかったけど。
そして、蓮くんの方は、私がする事を察したのだろう、用事があると言って先に帰って行ってしまった。
・・・
三人以外、教室に、誰も居なくなったのを確認すると、私が机に座りながら、昼休みに校舎裏で起きた事を二人に話した。
二人は、私の前に立ちながら聞いている。
「ふ〜ん、そっか、蓮のヤツが告白したのか」
「えっ、そうなの!」
何となく、予測が付いていたのか、大して驚いていない、瑞希と。
対象的に、予想外の言葉で、心底驚いた由衣。
「で、華穂はどうしたいの?」
驚いて、固まってしまった由衣に構わずに、瑞希が、そう言って尋ねてきた。
「正直、言って、分からないの・・・」
私は、瑞希の言葉に、ポツリとそう答える。
「どうしてよ! 普通、あんなイケメンから告白されて、迷う人なんて居ないでしょ!」
私の答えを聞いた瑞希が、そう、まくし立てた。
「確かに、彼は良い人で、何も無ければ、そう考えたけど。
でも、どうしても、”はい”とは言えないのよ・・・」
「どう言う事なの?」
「うん、私の隣に、彼が居る図がどう考えても、思い浮かばないから・・・」
私は、モヤモヤする頭で考えて、そんな事を言うと。
由衣が理由を尋ねたので、今の状態で、考えられる理由を言った。
「それは、優くんが理由なの?」
「それは、分からないけど、今は、そうとしか言えない」
「はあ〜」
由衣が言った事に、私がそう答えると、瑞希が盛大に溜め息を付いた。
「前々から思っていたけど、華穂、アンタ達二人は、不毛なのよ。
それに、いつかは姉弟は離れる物なの・・・」
「どうして、離れなければならないの!」
瑞希が言おうとした事を、私は、反射的に大声で遮る。
「別に、私は、ゆうくんと特別な事をしたい訳じゃない。
ただ、今まで通りの関係でいたいだけなのよ・・・」
そして、上手く廻らない頭で、そう言う風に言った。
「で、どうするの?
どんな形でも、蓮のヤツに返事をしないとイケナイ訳だし」
瑞希は膝を折ると、私の机に肘を付き、私の顔を覗き込む様にして見た。
「まず、アンタに必要なのは、優くんとの関係を見詰め直す事だと思う。
そうじゃなきゃ、蓮との事も、踏み切る事が出来ないよ」
瑞希がそう言いながら立ち上がると、私に背を向けて歩き出す。
「由衣、行こう。
この娘に考える時間をあげないとね」
「あっ、う、うん」
瑞希が振り返り、そう言うと、由衣も瑞希の後を追う。
「私としては、そんな不毛な関係に、終止符を打って貰いたいけどなあ〜」
前を向いたまま、瑞希がそんな言葉を残して、教室を出て行った。
・・・
教室から出ていく二人の背中を見ながら、私は、呆然としていたのだった。




