第95話 悪友の妹再び
ある日の日曜日。
今日は、外で一人でブラブラしている。
姉さんは、家で推薦入試の準備をしている。
と言っても、それまでの受験勉強に加え、面接の対策をしているのであるが。
推薦は面接がメインとは言え、一応、念の為、落ちたときの事を考え、一般入試の勉強をしている。
普段、休みの日は、家の掃除などをしているのだけど、掃除や洗濯は土曜日に全て済んでしまったので、今日は暇になったのだ。
家に居ても、姉さんの邪魔をしてはイケナイので、取りあえず外に出て、大型書店にでも行こうとしていた。
そんな訳で、繁華街を一人で歩いていると、
「(トン!)」
突然、誰かから背中を叩かれた。
誰かと思い振り返るとそこには、
「優さん、こんにちは」
透也の妹、茜ちゃんだ。
「あれ、茜ちゃん、どうしたの?」
「はい、チョット服を見に来ました、優さんは?」
「ん、いや、本屋に暇つぶしにな」
「そうだったんですか」
そう言いながら、茜ちゃんはクスクス笑う。
茜ちゃんは、ピンクのレースが付いたヒラヒラのブラウスに、同じような飾りが付いたデニムのホットパンツ。
それにスニーカーと、カラフルなハイサイソックスと言った、いかにも中学生女子と言った服装であった。
・・・
「優さん、あの店に行きませんか?」
そう言って、少し先にあるハンバーガーショップを指差した。
茜ちゃんは、すがり付くような視線で僕を見ている。
まあ、別にドコかに行くか、決めてなかったのでいいか。
「僕は別に構わないよ」
「えへへ、ありがとうございます♪」
そう言うと、茜ちゃんが嬉しそうに笑う。
・・・そんなに僕と一緒に行きたかったのか。
そんな事を思いつつ、一緒に店に入って行った。
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「優さん、ごちそうさまです」
そう言いながら、茜ちゃんが僕の左腕に抱き付く。
僕が、茜ちゃんに奢ってやったのだ。
それで、彼女が甘えてきたのである。
「えへへっ♪」
笑いながら、今度は、頬っぺたを腕にくっ付けてきた。
その行動を見て、僕は、”ああ、この娘は甘えたがりなんだな”と思った。
こう言う娘は、可愛がってやると、とても素直になるんだけど。
どうやら、透也のヤツはそんな事はしてないみたいだ。
「(ポン!)」
甘えてくる、茜ちゃんが可愛く思った僕は、彼女の頭に手を置いた。
「(なでなでなで)」
それから、頭を撫でてやる。
そうすると、気持ち良さそうに目を細めつつ、まるで、猫が甘えるように、頬ずりをし出した。
「優さん、優さんが私のお兄ちゃんなら良かったのに・・・」
夢見るような声を出しながら、茜ちゃんがそう言った。
ホントにアイツはしょうがないな。
扱い方しだいでは、こんなに可愛くなるの、その癖、文句が多いんだから。
今は居ない相手を、心の中で非難すると、茜ちゃんの頭を撫でながら歩いていた。




