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第95話 悪友の妹再び

 ある日の日曜日。


 今日は、外で一人でブラブラしている。


 姉さんは、家で推薦入試の準備をしている。


 と言っても、それまでの受験勉強に加え、面接の対策をしているのであるが。


 推薦は面接がメインとは言え、一応、念の為、落ちたときの事を考え、一般入試の勉強をしている。


 普段、休みの日は、家の掃除などをしているのだけど、掃除や洗濯は土曜日に全て済んでしまったので、今日は暇になったのだ。


 家に居ても、姉さんの邪魔をしてはイケナイので、取りあえず外に出て、大型書店にでも行こうとしていた。


 そんな訳で、繁華街を一人で歩いていると、



 「(トン!)」



 突然、誰かから背中を叩かれた。


 誰かと思い振り返るとそこには、



 「優さん、こんにちは」



 透也の妹、茜ちゃんだ。




 「あれ、茜ちゃん、どうしたの?」


 「はい、チョット服を見に来ました、優さんは?」


 「ん、いや、本屋に暇つぶしにな」


 「そうだったんですか」




 そう言いながら、茜ちゃんはクスクス笑う。


 茜ちゃんは、ピンクのレースが付いたヒラヒラのブラウスに、同じような飾りが付いたデニムのホットパンツ。

それにスニーカーと、カラフルなハイサイソックスと言った、いかにも中学生女子と言った服装であった。



 ・・・



 「優さん、あの店に行きませんか?」



 そう言って、少し先にあるハンバーガーショップを指差した。


 茜ちゃんは、すがり付くような視線で僕を見ている。


 まあ、別にドコかに行くか、決めてなかったのでいいか。




 「僕は別に構わないよ」


 「えへへ、ありがとうございます♪」




 そう言うと、茜ちゃんが嬉しそうに笑う。


 ・・・そんなに僕と一緒に行きたかったのか。


 そんな事を思いつつ、一緒に店に入って行った。




 ******************




 「優さん、ごちそうさまです」



 そう言いながら、茜ちゃんが僕の左腕に抱き付く。


 僕が、茜ちゃんに奢ってやったのだ。


 それで、彼女が甘えてきたのである。


 

 「えへへっ♪」



 笑いながら、今度は、頬っぺたを腕にくっ付けてきた。


 その行動を見て、僕は、”ああ、この娘は甘えたがりなんだな”と思った。


 こう言う娘は、可愛がってやると、とても素直になるんだけど。


 どうやら、透也のヤツはそんな事はしてないみたいだ。



 「(ポン!)」



 甘えてくる、茜ちゃんが可愛く思った僕は、彼女の頭に手を置いた。



 「(なでなでなで)」



 それから、頭を撫でてやる。


 そうすると、気持ち良さそうに目を細めつつ、まるで、猫が甘えるように、頬ずりをし出した。



 「優さん、優さんが私のお兄ちゃんなら良かったのに・・・」



 夢見るような声を出しながら、茜ちゃんがそう言った。


 ホントにアイツはしょうがないな。


 扱い方しだいでは、こんなに可愛くなるの、その癖、文句が多いんだから。


 今は居ない相手を、心の中で非難すると、茜ちゃんの頭を撫でながら歩いていた。



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