第83話 試験が終わって2
今日で中間試験が終わった。
帰り支度をしながら、さて、今日はどうしようか、そう思っていると、
「お〜い、優、一緒に、遊びにいくか!」
透也の声が聞こえた。
「ちょっと待ってよ!」
念の為、メールを確認する。
「ごめん、急用が出来たから、無理だよ」
携帯を見ると、直ぐに、透也に断りを入れた。
「しょうがないなあ」
「ごめん」
そう言って、透也には謝った。
でも、本当に、急用が出来たんだからしょうがない。
その急用とは。
・・・
「すいません、お待たせしました」
「あっ、来た来た」
慌てて僕が来ると、姉さんがそう言った。
姉さんを始め、3年生の打ち上げに、なぜか1年の僕が混ざる事になったのである。
「しかし、何で僕が来ないとイケないの・・・」
「ごめんね、実は・・・」
姉さんの話だと、始めは、女の子だけだったんだけど。
イキナリ、瑞希先輩が、蓮先輩も混ぜようと言い出したので、それをキッカケに男子が入ったけど、男女のバランスが悪いと言う事で、急遽、僕が呼ばれたのである。
何故、僕かと言うと、前々から僕に関心のある女の子が何人かいたので、それならばと、お呼びが掛かったそうだ。
「へえ、君が優くんねえ」
「よく見ると、結構、可愛いじゃない」
「いいなあ、華穂は、こんな可愛い子が弟なんて」
「あははは・・・」
いつも間にか、3年のお姉様に取り囲まれてしまった。
僕は、愛想笑いを浮かべるしかなかった。
しかし、この状況を見ていた、姉さんと由衣先輩が、面白くなさそうな表情をしていて。
張本人のみずき先輩と、蓮先輩は苦笑いを浮かべていた。
******************
「(はあ〜、何とか上手く行ったか)」
始めは、女の子だけだったんだけども、良い機会だから、華穂と蓮の距離をもっと縮めるつもりで、蓮をねじ込んだけど。
まさか、他の男子まで参加することになって、始めは焦ったけど、なぜか優くんまで来ることになったから、結果オーライか(笑)
ついでに、由衣の方もと思ったけど・・・。
そう言えば優くん、何気に、3年にも人気が有ったんだよね。
由衣、気を付けないと彼、取られるよ。
・・・
それから、みんなでカラオケボックスに行った。
中に入り、それから、めいめい歌い始める。
それで、肝心の4人はと言うと、
最初からの目的である、蓮の方は。
「ねえ、蓮くん、一緒にデッエットしない?」
「じゃあ、次は私ね〜」
「それじゃ、それじゃ、その次は私だよね」
「うん、分かったよ・・・」
女子に取り囲まれていた。
それから予想外である、優くんの方はソファに座りながら。
「いいな、ツルツル、サラサラで触り心地も良いし」
「ホント、弟じゃなくて、妹でも通用するね」
「ああ〜、そんな所、触らないで〜」
両サイドの女子から、モフモフされていた・・・。
これを見たら、華穂と由衣は・・・。
と、思っていたけど、その華穂と由衣は。
「大橋さん、今度のテストはどうだった?」
「今回も楽勝だったでしょう〜」
「そんな事ないよ〜」
蓮から離れたのをこれ幸いと、華穂に男子が群がっていた。
次に、由衣の方を見ると、
「しかし、ビックリしたなあ、夏休みが終わって、急に綺麗になって」
「それに、あのチャラ男達をやり込めたのには驚いた」
「誰か好きな人が、出来たんじゃないの?」
「さあ、どうかな♪」
・・・やはり、男子がやって来ていた。
あのバカどもじゃ無いからだけど、前の由衣だと、男子を前にすると、俯いていたが、今は、自信を持って、対応している。
やはり、由衣は変わったのだ。
それを見て、少しは安心した。
・・・
「(ピュ〜〜〜)」
しかし、私の周りには、誰も来ない・・・。
なぜ、どうして、Why。
何となく、敗北感を感じてしまった。
こうして私は、敗北感を感じながら、ポツンと一人で立っていたのであった・・・。




