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第81話 姉とイケメン4

 由衣が出て行ってからしばらくして、




 「由衣遅いね、何しているのかな?」


 「私がチョット見てくるね」




 由衣がまだ戻らないので、私が見てくる事にした。




 「悪いわね、瑞希」


 「いいから、いいから」



 そう言って、私は、部屋を出た。



 ・・・



 「あれ?」



 部屋を出てみると、一ヶ所、ドアが開いている部屋がある。


 気になったので、(のぞ)いてみると、



 「あれ〜♪」



 由衣が、優くんの胸に頭を乗せたまま、一緒にベッドに寝ていた。


 周りの状況から察すると、どうやら、寝ている優くんに、由衣が乗っかった様である。



 「ふふ〜ん、やるじゃない♪」



 由衣の方は、上手くやっている様である。


 次は、華穂の方がどうかは、蓮のヤツに頑張ってもらわないとね。


 そうだ、もうお昼だし、昼食を買い出すついでに二人きりにするか。


 そんな事を考えつくと、また華穂の部屋に戻った。



 ・・・



 「瑞希、由衣はどうだった?」


 「あ〜、疲れを取る為、少し横になるって言ってた」


 「どこで寝るんだろう?」


 「それは聞いてなかったね」




 余り、詳しく言うとボロが出るので、適当に、はぐらかした。




 「あ、そうそう、もうすぐお昼だから、私が、表に買いに出るね」


 「そんな、いいよ、何か電話で注文するから」


 「いいって、近くに、美味しいピザのお店が有って、そこは直に取りに行くと安くなるんだよ」


 「そう・・、じゃあ、お願いしようかな」


 「じゃあ、行ってくるね」




 私は、そう言うと、存在が空気になっていた蓮に向けて、ウインクをすると、蓮が私の意図を理解したのか(うなず)いた。



 「30分くらい掛かるから、待っていてよ」



 そう言って、私は、部屋を出たのであった。




 *****************




 瑞希が出ていくと、私は、蓮くんと二人きりになった。


 ”シーン”とした部屋に、二人きりでいたのだ。


 その状況に、何だかドギドキしてしまった私は、




 「ね、ねえ、ここを教えてくれない?」


 「うん、良いよ」




 思わず、そんな事を言って、場の空気を誤魔化そうとした。


 が、しかし、私がそう言うと、蓮くんは私の背後に廻り、



 「あ、ここね、ここは・・・」



 私の後ろから、蓮くんが説明をしだした。


 つまり、私の後ろで、蓮くんが私を包み込むような形になったのである。


 耳のすぐ側で、彼の声がする。


 その状況に、返って恥ずかしくなった私は、思わず首を振ってしまった。




 「いたっ!」


 「きゃん!」




 顔を伏せた状態で、首を振った為に、横にある蓮くんの顔に、私の側頭部が当たってしまった。


 蓮くんが、痛さの余り、右手で顔を押さえながら、左手で床に手を付いていた。



 「(ボタ、ボタ・・・)」



 カーベットに何かが垂れていた。


 よく見ると、それは血である。


 蓮くんが、鼻血を出していたのだ。


 どうやら運悪く、鼻っ柱にクリーンヒットしたみたいである。



 「ああっ、テッシュ、テッシュ」



 私は慌てて、蓮くんの鼻にテッシュを当てた。



 ・・・



 「蓮くん、ごめんなさい・・・」


 「華穂さん、いいから、いいから」




 私は、ショゲてしまったけど、蓮くんは、そんな私を気遣ってくれている。


 今、蓮くんは、私の膝枕で寝ている。


 鼻血が出ているので、上を向かないといかないけど、ナカナカ止まらないので、キツそうにしている彼を見かねて、彼の頭を私の太股の上に置いたのだ。


 もっとも、その原因が私にあるので、そのお詫びと言う事もある。



 「まだ、痛いの?」



 私は、蓮くんの頭を優しく撫でると、そう言った。



 「うんん、大丈夫だよ」



 そう言って、蓮くんが首を振った。



 「〜〜〜」



 蓮くんが首を振ると、足にくすぐったい様な感覚が走り、思わず、体を振るわせた。



 「あ、ごめんね」



 私の反応に、驚いた蓮くんが、そう言って謝った。



 「もう、止まったかな?」



 しばらくして、蓮くんがそう言ってきた。


 しかし、私は、



 「もう少し、こうした方が良いよ」



 そう言いながら、蓮くんの頭をまだ撫でていた。


 こうして、瑞希が帰るまで、蓮くんの頭を太股に乗せたままで、彼の頭を撫で続けていたのであった。



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