第81話 姉とイケメン4
由衣が出て行ってからしばらくして、
「由衣遅いね、何しているのかな?」
「私がチョット見てくるね」
由衣がまだ戻らないので、私が見てくる事にした。
「悪いわね、瑞希」
「いいから、いいから」
そう言って、私は、部屋を出た。
・・・
「あれ?」
部屋を出てみると、一ヶ所、ドアが開いている部屋がある。
気になったので、覗いてみると、
「あれ〜♪」
由衣が、優くんの胸に頭を乗せたまま、一緒にベッドに寝ていた。
周りの状況から察すると、どうやら、寝ている優くんに、由衣が乗っかった様である。
「ふふ〜ん、やるじゃない♪」
由衣の方は、上手くやっている様である。
次は、華穂の方がどうかは、蓮のヤツに頑張ってもらわないとね。
そうだ、もうお昼だし、昼食を買い出すついでに二人きりにするか。
そんな事を考えつくと、また華穂の部屋に戻った。
・・・
「瑞希、由衣はどうだった?」
「あ〜、疲れを取る為、少し横になるって言ってた」
「どこで寝るんだろう?」
「それは聞いてなかったね」
余り、詳しく言うとボロが出るので、適当に、はぐらかした。
「あ、そうそう、もうすぐお昼だから、私が、表に買いに出るね」
「そんな、いいよ、何か電話で注文するから」
「いいって、近くに、美味しいピザのお店が有って、そこは直に取りに行くと安くなるんだよ」
「そう・・、じゃあ、お願いしようかな」
「じゃあ、行ってくるね」
私は、そう言うと、存在が空気になっていた蓮に向けて、ウインクをすると、蓮が私の意図を理解したのか頷いた。
「30分くらい掛かるから、待っていてよ」
そう言って、私は、部屋を出たのであった。
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瑞希が出ていくと、私は、蓮くんと二人きりになった。
”シーン”とした部屋に、二人きりでいたのだ。
その状況に、何だかドギドキしてしまった私は、
「ね、ねえ、ここを教えてくれない?」
「うん、良いよ」
思わず、そんな事を言って、場の空気を誤魔化そうとした。
が、しかし、私がそう言うと、蓮くんは私の背後に廻り、
「あ、ここね、ここは・・・」
私の後ろから、蓮くんが説明をしだした。
つまり、私の後ろで、蓮くんが私を包み込むような形になったのである。
耳のすぐ側で、彼の声がする。
その状況に、返って恥ずかしくなった私は、思わず首を振ってしまった。
「いたっ!」
「きゃん!」
顔を伏せた状態で、首を振った為に、横にある蓮くんの顔に、私の側頭部が当たってしまった。
蓮くんが、痛さの余り、右手で顔を押さえながら、左手で床に手を付いていた。
「(ボタ、ボタ・・・)」
カーベットに何かが垂れていた。
よく見ると、それは血である。
蓮くんが、鼻血を出していたのだ。
どうやら運悪く、鼻っ柱にクリーンヒットしたみたいである。
「ああっ、テッシュ、テッシュ」
私は慌てて、蓮くんの鼻にテッシュを当てた。
・・・
「蓮くん、ごめんなさい・・・」
「華穂さん、いいから、いいから」
私は、ショゲてしまったけど、蓮くんは、そんな私を気遣ってくれている。
今、蓮くんは、私の膝枕で寝ている。
鼻血が出ているので、上を向かないといかないけど、ナカナカ止まらないので、キツそうにしている彼を見かねて、彼の頭を私の太股の上に置いたのだ。
もっとも、その原因が私にあるので、そのお詫びと言う事もある。
「まだ、痛いの?」
私は、蓮くんの頭を優しく撫でると、そう言った。
「うんん、大丈夫だよ」
そう言って、蓮くんが首を振った。
「〜〜〜」
蓮くんが首を振ると、足にくすぐったい様な感覚が走り、思わず、体を振るわせた。
「あ、ごめんね」
私の反応に、驚いた蓮くんが、そう言って謝った。
「もう、止まったかな?」
しばらくして、蓮くんがそう言ってきた。
しかし、私は、
「もう少し、こうした方が良いよ」
そう言いながら、蓮くんの頭をまだ撫でていた。
こうして、瑞希が帰るまで、蓮くんの頭を太股に乗せたままで、彼の頭を撫で続けていたのであった。




