第8話 2人で買い物
学校前の駅で透也と先輩達と別れると、家の近くの駅まで電車に乗り、そこから歩いて家に向かった。
駅から出ると、また二人で手を繋ぎ始める。
流石に、二人だけで余所見をしながら歩くのは危ないので、前を見て歩いているが。
それでも二人共、ちょくちょく、お互いを見ている。
それに僕は、姉さんが危なく無い様に、自分が車道側を歩いていた。
・・・
そうして、二人で歩いていると、背後から結構スピードがある車が、近付く音が聞こえた。
しかも、至近距離で擦れ違うみたいだ。
それに気付くと、僕は一旦、姉さんと繋いだ手を離した。
「あっ」
姉さんが声を上げるが、それに構わず、姉さんの背後に廻ると。
軽く抱き締めながら横に移動し、車をやり過ごす。
「ブルル〜」
横に動いて間もなく、車が僕達のすぐ横を通り過ぎた。
「もお、危ないなあ、姉さん大丈夫?」
僕の腕の中にいる、姉さんの細い体を抱いたまま、後ろから覗き込む様に、僕がそう尋ねると。
「うん、大丈夫だよ」
姉さんが振り向きながら、熱い瞳で僕を見詰めて、そう答えた。
姉さんに何も無い事を確認すると、また姉さんの横に移動して、手を繋げ直すと、家に向けて歩き始める。
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家に帰った後、制服のまま、スーパーに向かう。
スーパーに着くと、僕は右手に買い物籠を持った。
もちろん左手は、手を繋いだままだ。
姉さんが、僕の少し前で、僕の手を引いて歩いている。
小さい頃は、いつもこうして、姉さんに手を引かれながら歩いていた物だ。
その頃は、結構、姉さんを振り回していたなあ。
いつからだろうか、姉さんの事を逆に、大事に扱わないとイケないと、思う様になったのは。
それから姉さんの事を、まるで壊れ物の様に扱ってしまう。
実際、細くて柔らかで、乱暴に扱うと壊れてしまうかと思ってしまう。
でも姉さんは、姉さんだから、何だかんだ言っても頭が上がらないんだよな。
「ねえ、なおくん。
今日のオカズは何が良い?」
僕が姉さんの事について考えていると、その当の本人から尋ねられた。
「う〜ん、そうだね。
何か今日は、オムレツが食べたいな」
「オムレツね。
お姉ちゃんに任せなさい」
そう言うと、姉さんが左手で、小さく力コブを作る仕草を見せる。
「それじゃあ、玉子、玉子っと」
それから二人で、スーパーの中で買い物をした。
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買い物が済むと、僕が荷物を持って家へと帰る途中で。
「ゆうくん、大丈夫?
お姉ちゃんが、少し持とうか?」
「いいよ、大丈夫だから」
僕の事を気遣って、姉さんがそんな事を言ってきた。
僕は、大丈夫な事を示す為に、笑顔を見せながら、荷物が入ったレジ袋を持ち上げる。
別に、無理している訳では無く、本当に重くは無いが。
レジ袋はある程度の荷物が入っていると、持ち手が細くなって、手が痛くなるのが苦しいかな。
「それより、姉さん。
おいしいオムレツを作ってね」
「うん、分かったよ、ゆうくん」
そう言うと、姉さんが、嬉しそうな笑顔を見せる。
そんな風にして、僕達は家へと帰った。