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第72話 意識的に

 夜が明けるかどうかの頃。



 ・・・はあ。


 何だか、とても気持ち良いなあ・・・。


 半分眠りの世界にいて、まだ意識が微睡(まどろ)んでいたが。


 余りの気持ちの良さに、夢の中に戻れないでいた。



 「(スーッ・・・、スーッ・・・)」



 ・・・気持ちの良い理由が分かった。


 ゆうくんがずっと、私の頭を撫でていたからだ。



 「(スーッ・・・、スーッ・・・)」



 私の快感のツボを知っている、ゆうくんが頭を撫でている。


 指の間に髪を通すようにしつつ、頭の形に沿わせながら撫でているのだ。



 「(スリスリスリ)」



 

 ゆうくんの与えてくれる快感に、私は思わず、ゆうくんの胸に頬ずりをし出した。


 私は、ゆうくんと手を(つな)いだ状態で、頬ずりをしているのだ。


 それを、ゆうくんが受けると、今度は、私の頭を自分の胸に押し付ける様にして撫でて来た。



 「はあっ・・・」



 その撫でる手の、感触を感じると、微かな溜め息が出てきた。


 そうやって私は、ゆうくんが与えてくれる快感を感じながら、微睡んでいたのであった。


 ・・・




 ****************




 ・・・


 ・・・・・・


 「う〜ん〜」



 もう朝なのだろう。


 まぶたの裏でも、光が感じられた。



 「ゆうくん〜、起きなさい〜」



 姉さんの声が聞こえる。


 しかし、それと同時に自分の胸に、くすぐったさと快感が入り混じった様な感触が走る。



 「ほらぁ〜、もう朝だよ〜」



 姉さんが、僕のパジャマの中に手を入れて、Tシャツの上から胸を撫でていたのある。


 姉さんの滑らかで柔らかな手が、Tシャツの上を滑る感触が何とも言えない。


 その複雑な感触に耐えきれず、僕は上半身を起こした。



 「あ、やっと起きたね、ゆうくん、おはよっ♪」



 僕が身を起こして姉さんを見ると、姉さんが、してやったりと言った表情で笑っていた。



 「(ぼーーっ)」



 まだ、目が覚めきっていない僕が、身を起こしたまま、ボーとしていると。


 そんな、寝ぼけ(まなこ)のままの僕を見た姉さんが、僕の顔をしばらく眺めた後。


 いきなり、僕の両頬を両手で挟み。



 「チュッ♡」



 僕のおでこにキスをした。


 次に、おでことおでこをくっ付けながら。



 「ほら、目が覚めた?」



 そんな事を言った。


 そして、すぐにおでこを離すと、


 「下で待っているから、早く着替えてきてね」



 そう言い残すと、部屋を出て、一階へと向かった。


 僕は、姉さんの一連の行動に、呆然としていた。



 ・・・


 今日は姉さん、どうしたのだろうか?


 いつも起こすときは、体を揺すったりするけど、服の中に手を入れるなんて事は無かった。


 それに、いつも以上にベッタリとしているような・・・。


 いや、それは僕もそうか。


 何と言うか、お互い、意識的に今までよりも、くっ付こうとしている。


 やはり、今までと同じような関係で居られるかどうか、分からないのが不安なんだろうか?


 まだ眠気が残った頭で、そんな事を考えていたのであった。



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