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第71話 幼い頃の夢

 その夜。



 日付も変わって、カナリ経った頃。


 僕は、ベッドで、深い眠りに着いていると。


 ・・・




 *****************




 それは、僕が幼い頃の、ある日の事であった。



 「ぐっすん、ぐっすん・・・」



 僕は泣いていた。


 その日は、お姉ちゃんと一緒に、少し遠くの町の公園に遊びにいった時の事である。


 遊んでいる内に、いつの間にか、はぐれていたしまったのだ。



 「おねえちゃん〜」



 僕は、はぐれた、お姉ちゃんを探して、歩き廻っていた。



 ・・・



 「おねえちゃん・・・、どこにいるの・・・」



 しばらく、歩き廻った僕は、お姉ちゃんを見つける事が出来ず、しかも、歩き疲れてしまった。


 疲れながらも、とぼとぼと歩いていたが、次第に、その足が重くなり、そして、止まったのである。



 「ひくっ・・、うっ・・・、おねえちゃん〜!」



 そして、とうとう僕は、路地の真ん中で泣き出した。



 「ゆう〜く〜ん!」



 その声が聞こえたのか、路地の向こうに、お姉ちゃんの姿が見えた。


 お姉ちゃんの姿が見えるのと同時に、勢い良く、僕の方に駆け出してきたのである。




 「(ダダダダダダーーー!)」


 「ゆうくん、ごめんねーーー!」




 お姉ちゃんは、勢いそのままに、僕に抱き付いた。



 「おねえちゃん! おねえちゃん!」



 そんな、お姉ちゃんに僕は、抱き付きながら泣いている。


 お姉ちゃんも、僕を抱き締めたまま、一緒に泣いていた。


 こうして、僕達、二人は、一緒になって泣いていたのであった。




 ・・・



 しばらくの間、一緒に泣いた後、家に向かって帰り始める。


 お姉ちゃんが、僕の左手を右手で(つな)ぎながら。



 「ゆうくん、ごめんね、一人きりにさせてしまって」



 そう言って、お姉ちゃんは謝った。



 「・・・おねえちゃん、離れないでね」



 僕は、お姉ちゃんの方を、おずおずと見ながらそう言うと。



 「うん、ゆうくん、いつまでも一緒だよ」



 お姉ちゃんが、ニッコリと微笑みながら、そう言った。


 僕は、お姉ちゃんの言葉を聞くと、お姉ちゃんの顔を見詰めつつ。



 「おねえちゃん、ずっと一緒だよ・・・」



 そう言って、僕は、お姉ちゃんの手をギュッと握った。


 帰りの道は、既に夕方のオレンジ色に包まれていて。


 二人の背後には、長く伸びた影が見える。


 そんな、帰り道を二人並んで、帰って行った。


 ・・・




 *****************




 ・・・


 「ん?」



 胸に、何かが乗っかっている感触がして。


 眠りの海から、次第に、意識が浮上してきていた。


 眠い目を薄っすら開くと、姉さんの頭が見える。


 どうやら、今日は、僕のベッドに侵入してきた様だ。


 最近、試験勉強を本格的に開始してからは、自分の部屋で寝る事が多いので、久しぶりだ、


 姉さんは、僕の胸板に頭を乗せている。



 「(ギュッ)」



 そして、それと同時に寝ながら、右手で僕の左手を握っていたのである。


 ふと、さっき見ていた夢の事を思い出した。


 あれは、小さい時に、実際にあった事だ。


 姉さんが手を握っていたから、見たのだろうか?


 いや、それだけでない。


 僕達、二人が今までの様な関係で居られるか、分からないからだろう。



 「(ギュッ)」



 そんな風に考えると、僕は自然に姉さんの手を握り返していた。


 姉さんの手を握ると、右手で姉さんの頭を撫で出す。


 滑らかな、姉さんの髪の感触が心地良い。


 そうやって姉さんの感触を感じながら、しばらく微睡(まどろ)んでいたのであった。



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