第70話 どうすれば良いのだろう
その日の夜。
夕食が済んで、居間で姉さんが食休みをしている。
胃袋を落ち着かせないと、勉強に集中出来ないからだ。
そう言う僕は、台所で洗い物をしている所である。
僕は考え事をしながら、食器を洗っていた。
・・・
姉さんと蓮先輩との関係。
蓮先輩が姉さんに対して、好意を持っているのは分かる。
最初に、二人が一緒に歩いている所を見たとき、何とも言えない黒い感情が湧いたのを覚えている。
いままで、姉さんは男性恐怖症気味なので、男が近づいても、取りあえず相手はするが、華麗にスルーするのが常であった。
それが、蓮先輩の時は、親しく会話などをして、今までとは対応が違っていた。
しかし、蓮先輩と、親しく会話する事が出来た時に気付いた。
確かに、姉さんが好そうなタイプだと。
その事に気付くと、心中穏やかで居られなかったけど。
姉さんの幸せを考えると、僕は何も言う事が出来ない・・・。
・・・
それに、由衣先輩の事。
いくら鈍い僕でも、先輩が僕に対して、明らかに好意があるのは分かる。
でも僕は、先輩に対して、どう接すると良いのだろう・・・。
別に、先輩に嫌な感情がある訳ではない。
ただ、そう言う相手と付き合った事が無いので、どうすれば良いのかが分からないのだ。
自慢じゃ無いけど、僕は今まで恋愛と言う物をしたことが無い。
女の子に対する興味や関心は、姉さんと一緒にいるだけで、十分満たされてしまうからだ。
それどころか、姉さん以外の女の子と一緒にいる事自体が考えられなかった。
姉さん以上に、優しくて可愛らしく、お淑やかだけど茶目っ気がある、女の子がいるとは思えなかったのである。
しかし、今日、変わった由衣先輩を一緒にいると、姉さんと一緒にいるのと、変わらない様な感覚に陥った。
「これから、どうすれば良いの分からないな・・・」
思わず、そんな独り言が出てしまう。
姉さんと蓮先輩の二人の関係、由衣先輩との関係、自分の気持ち、考えれば考えるほどモヤモヤしてしまうのであった。
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夕飯が済んで、居間で休憩していた。
洗い物は、ゆうくんがやってくれている。
ゆうくんは、本当に優しい弟だ、
私は、いままで男の子に余り興味が起こらなかった。
それは、私は基本的に、男の子が余り好きではないからである。
理由は、乱暴で、不潔で、ガサツだからだ。
また、中学に上がった頃から、明らかに下心を持って近づく、男の子が出てきたのも、その傾向に拍車をかけた。
だから、ゆうくん以外の男の子には、関心が持てなかったのである。
でもゆうくんは、可愛くて清潔で、優しくて、いつも私の事を考えてくれている。
それにゆうくんは、いつも私の隣にいてくれる。
だから、いつまでも、ゆうくんが隣にいるのが当たり前だと思っていた。
・・・
でも、親友の由衣が、ゆうくんに好意を持っている事が分かり。
更には、ゆうくんの為に自分を変えたのである。
どれだけ、ゆうくんの事を真剣に思っているのかが分かる。
私は、その事にショックを受けた。
ゆうくんと、いつまでも一緒にいられないのだと言う事を、目の前に突きつけられたのである。
・・・
それに、以前からその存在だけは知っていた、蓮くんが、最近、私に急接近してきたのだ。
成績上位を争う、間柄であるので、その存在は知っていたのだけど、それ以外の接点が無かったのである。
それが、3年生になってから、私に急接近して来た。
最近では、私の近くにいるのも珍しくは無い。
しかし、その事が、決して不快にはならない。
なぜなら、彼は、他の男の子と違い、乱暴でも、不潔でも、ガサツでもないからである。
どちらかと言えば、ゆうくんに似ている気がする。
だから、今では、彼が隣にいても不思議では無くなってしまった。
「どうすれば良いのかなぁ?」
そんな独り言が、出てしまう。
ゆうくんの事、由衣の事、蓮くんの事、どうすれば良いか分からない事ばかりだ。
受験を前に、関係ない事に頭を悩まされるのであった。




