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第70話 どうすれば良いのだろう

 その日の夜。



 夕食が済んで、居間で姉さんが食休みをしている。


 胃袋を落ち着かせないと、勉強に集中出来ないからだ。


 そう言う僕は、台所で洗い物をしている所である。


 僕は考え事をしながら、食器を洗っていた。



 ・・・



 姉さんと蓮先輩との関係。


 蓮先輩が姉さんに対して、好意を持っているのは分かる。


 最初に、二人が一緒に歩いている所を見たとき、何とも言えない黒い感情が湧いたのを覚えている。


 いままで、姉さんは男性恐怖症気味なので、男が近づいても、取りあえず相手はするが、華麗にスルーするのが常であった。


 それが、蓮先輩の時は、親しく会話などをして、今までとは対応が違っていた。


 しかし、蓮先輩と、親しく会話する事が出来た時に気付いた。


 確かに、姉さんが好そうなタイプだと。

 その事に気付くと、心中穏やかで居られなかったけど。


 姉さんの幸せを考えると、僕は何も言う事が出来ない・・・。



 ・・・



 それに、由衣先輩の事。


 いくら鈍い僕でも、先輩が僕に対して、明らかに好意があるのは分かる。


 でも僕は、先輩に対して、どう接すると良いのだろう・・・。


 別に、先輩に嫌な感情がある訳ではない。


 ただ、そう言う相手と付き合った事が無いので、どうすれば良いのかが分からないのだ。


 自慢じゃ無いけど、僕は今まで恋愛と言う物をしたことが無い。


 女の子に対する興味や関心は、姉さんと一緒にいるだけで、十分満たされてしまうからだ。


 それどころか、姉さん以外の女の子と一緒にいる事自体が考えられなかった。


 姉さん以上に、優しくて可愛らしく、お淑やかだけど茶目っ気がある、女の子がいるとは思えなかったのである。


 しかし、今日、変わった由衣先輩を一緒にいると、姉さんと一緒にいるのと、変わらない様な感覚に(おちい)った。



 「これから、どうすれば良いの分からないな・・・」



 思わず、そんな独り言が出てしまう。


 姉さんと蓮先輩の二人の関係、由衣先輩との関係、自分の気持ち、考えれば考えるほどモヤモヤしてしまうのであった。




 *****************




 夕飯が済んで、居間で休憩していた。


 洗い物は、ゆうくんがやってくれている。


 ゆうくんは、本当に優しい弟だ、


 私は、いままで男の子に余り興味が起こらなかった。


 それは、私は基本的に、男の子が余り好きではないからである。


 理由は、乱暴で、不潔で、ガサツだからだ。


 また、中学に上がった頃から、明らかに下心を持って近づく、男の子が出てきたのも、その傾向に拍車をかけた。


 だから、ゆうくん以外の男の子には、関心が持てなかったのである。


 でもゆうくんは、可愛くて清潔で、優しくて、いつも私の事を考えてくれている。


 それにゆうくんは、いつも私の隣にいてくれる。


 だから、いつまでも、ゆうくんが隣にいるのが当たり前だと思っていた。



 ・・・



 でも、親友の由衣が、ゆうくんに好意を持っている事が分かり。


 更には、ゆうくんの為に自分を変えたのである。


 どれだけ、ゆうくんの事を真剣に思っているのかが分かる。


 私は、その事にショックを受けた。


 ゆうくんと、いつまでも一緒にいられないのだと言う事を、目の前に突きつけられたのである。



 ・・・



 それに、以前からその存在だけは知っていた、蓮くんが、最近、私に急接近してきたのだ。


 成績上位を争う、間柄であるので、その存在は知っていたのだけど、それ以外の接点が無かったのである。


 それが、3年生になってから、私に急接近して来た。


 最近では、私の近くにいるのも珍しくは無い。


 しかし、その事が、決して不快にはならない。


 なぜなら、彼は、他の男の子と違い、乱暴でも、不潔でも、ガサツでもないからである。


 どちらかと言えば、ゆうくんに似ている気がする。


 だから、今では、彼が隣にいても不思議では無くなってしまった。



 「どうすれば良いのかなぁ?」



 そんな独り言が、出てしまう。


 ゆうくんの事、由衣の事、蓮くんの事、どうすれば良いか分からない事ばかりだ。


 受験を前に、関係ない事に頭を悩まされるのであった。



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