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第66話 夏休みデビュー

 朝食を済ませると、制服に着替え、家を出た。




 「はあ〜、まだ日差しが痛いねえ、ゆうくん」


 「うん、夜は、流石に涼しいなったけどね」




 そんな事を話してながら駅へ向かっていると、いつもの様に、姉さんから手を(つな)いできた。


 小さくて、柔らかで、ヒンヤリした姉さんの手が、僕の手を握っている。


 そんな姉さんの手を、僕は握り返した。


 こうして、学校に向かう時の、いつもの習慣を復活させると、僕達は、駅へと向かった。




 *****************




 電車から降り、駅を出ると、学校へと向かっていた。


 そうして通学路を歩いていると。



 「お〜い、華穂〜!」



 瑞希先輩の声が聞こえた。




 「おはよ、瑞希」


 「瑞希先輩、おはようございます」


 「うん、おはよ、華穂、優くん」




 お互いに、挨拶をすると、僕等のすぐ側で、



 「おはよ、瑞希、華穂、優くん」



 挨拶する声が聞こえた。


 振り返ると、ドコかで見たことがある女の子がいた。


 あれ、誰だったかな?



 「えっと・・・、誰だったっけ?」



 思わず、瑞希先輩もコメカミに、指を当てながらつぶやいた。


 その女の子は、前髪を切り揃えた、肩までの長さの髪で。

穏やかそうな垂れ目が、特徴的な顔の可愛い女の子だった。


 その女の子は、一瞬、(ままたき)きをした後、 



 「いやね、私よ、私、由衣よ」



 と、笑いながら、そう言った。



 「「「ええええ〜!」」」



 3人が一斉に驚いた。


 確かによく見ると、由衣先輩だ。


 眼鏡を外しているので一瞬、誰か分からなかった。


 眼鏡を外した顔を何度か見ていたのだけど、髪型が変わっているので本当に誰か分からない。


 髪がただ三つ編みを解いただけでなく、以前は額が丸見えだったけど、今見る先輩は、切り揃えたパッツンパッツンの前髪で。


 それに、眉毛を整えたりと、顔の方も明らかに手を加えている。


 それから、なんだか雰囲気が変わっているのが、それに拍車(はくしゃ)をかけていた。




 「ちょ、ちょっと、由衣、いつ髪型を変えたのよ」


 「うん、昨日、ただ髪を解くだけじゃイマイチだから、美容院にも行ってきたの」




 瑞希先輩が尋ねると、由衣先輩がそう答えた。



 「でも、どうして、急に髪型をかえたの?」



 姉さんが尋ねると、由衣先輩が僕の方を見ながら。



 「海に行った時、優くんが私の事を可愛いって言ってくれたから・・・」(第60話参照)



 僕に微笑みを向けながら、由衣先輩が答える。



 「だから、二学期になったら、もっと可愛い姿を優くんに見せたかったのよ」



 微笑んだまま、由衣先輩が続きを言った。



 「へえ〜、そうなの・・・」



 姉さんが、そう言って、ジト目で僕を見る。



 「はははは・・・」



 僕は、なぜか乾いた笑いが出てしまった。



 ・・・



 それから、僕たちは、学校へと出発したが。


 由衣先輩が僕の横で、ニコニコしながら、僕を見ていて。


 姉さんが、ジト目で僕を見ながら、繋いだ手に力を込めていた。


 お姉様、手が地味に痛いのですが・・・。


 瑞希先輩は、上手く行った様な、やり過ぎた様な、何とも言えない複雑な表情をしていた。



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