第58話 姉さん達と海へ
休講日、当日。
今日は姉さん達と、海に行く日だ。
僕はすでに準備が済んで、居間で姉さんが来るのを待っている。
「はあ〜、遅いなあ」
いつもの事とは言え、姉さんの身支度は遅い。
女の子だから仕方がないと言えば、そうなのかもしれないが。
しかし、相変わらずに慣れない物である。
・・・
「ゆうくん〜、お待たせ〜」
背後から、姉さんの声が聞こえた。
その声に、後ろを振り返ると。
黒髪と透き通るような肌に良く似合う、純白のワンピースを身に纏った上に、幅広の白い帽子を被った、姉さんがいた。
「・・・」
「? どうしたの、ゆうくん?」
「あ、ううん、何でもないよ」
「?」
僕は一瞬、姉さんに見惚れていた。
普段だとワザとらしい格好も、姉さんが着ると、違和感が無いのだ。
「そ、それじゃあ、姉さん行こう」
「え、ちょっと待ってえ〜、ゆうく〜ん!」
僕は、姉さんに見惚れていたのを誤魔化そうと、慌てて出て行こうとし、姉さんがその後を追った。
****************
それから、二人は、待ち合わせ場所の、学校前の駅に付いた。
見れば、そこには、すでに瑞希先輩たちがいたのである。
「お〜い〜!」
それを見た、姉さんが、瑞希先輩たちに手を振りながら、先輩たちの方に走り寄った。
僕は、そんな姉さんの後を追って、走り出した。
・・・
「遅いよ〜」
「ごめん、ごめん」
遅れた姉さんを、瑞希先輩が文句を言うと、姉さんは謝った。
そんな瑞希先輩は、ヘソだしのチューブトップとデニムのホットパンツと言う格好である。
そして、瑞希先輩の隣には、蓮先輩が立っていて、姉さんをジッと見ていた。
それからしばらくして、姉さんを見ていた、蓮先輩が、
「華穂さん、とても綺麗だよ・・・」
「・・・ありがとう」
と、姉さんを褒めると、姉さんが頬を赤らめながら俯いた。
そんな二人を見ていた僕は、意味もなく”ムッ”してしまった。
「(チョンチョン)」
二人を見ていた僕の背中を、誰かが摘んでいる。
振り返ると、由衣先輩がモジモジしながら僕を見ていた。
「ねえ、優くん、今日はどうかなあ・・・」
由衣先輩は、水色のタンクトップに青色のミニスカートと、ストローハットを被っていた。
そんな先輩の格好と、遠慮がちな姿を見た僕は、
「由衣先輩、とても可愛いですよ」
自然に、頬が緩むと、そんな言葉が出てきた。
「うん〜♪」
そうすると、先輩が、まるで花が咲くかの様な笑顔を見せた。
そんな、二組の状態を瑞希先輩が、満足そうな様子で見ている。
・・・
少し経ってから、みんなの様子が落ち着いてくると、それを見計らったかの様に。
「それじゃあ、みんな、海へ出発しましょう」
瑞希先輩の合図で、僕たちは、海へと出発する事になった。




